本会の第4回理事会が去る10月23日(金)午後1時30分より秋田市「アキタビューホテル」において開催された。
理事会の後、「当面の中小企業を巡る主要政策課題」と題し、全国中央会菅野専務理事による情勢報告・意見交換会が行われた。
平成10年度第4回理事会を開催
秋田ビューホテル4F「光琳の間」において理事会が開催され、(1)平成10年度上半期の事業遂行状況について(2)平成10年度上半期の予算執行状況について(3)会員の加入・脱退の承認についての3議案が審議され、全ての議案について満場一致をもって承認された。
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全国中央会菅野専務理事情勢報告要旨
1.景気の現状と抜本的景気対策
最近の経済情勢は残念ながら益々厳しい情勢になっている。10月に発表された月例経済報告でも個人消費は低調、住宅建設は低水準等民間の内需が下向きになっている。個人消費はわが国のGNP500兆のうち300兆位であり約6割を占めているが、昨年の4月以降の消費税の引き上げに伴って一層伸び悩んでいる。
このような厳しい内需の動向によりかつてない高水準の失業、倒産情勢に加え、有効求人倍率や失業者数がかつてないほど悪化し、完全失業率も4.3%となるなど雇用面でも厳しい状況となっている。
このような情勢を好転させるには、真水10兆円を超える事業規模の第3次補正など、景気回復最優先の経済運営を呼びかけていきたい。
2.「貸し渋り」等、金融対策
金融システムが揺らいでいる現状であることから、早期に悪影響のない形で処理する必要がある。
昨年来貸し渋りが深刻化しているなかで、橋本前総理の元で5月に金融再生トータルプラン推進協議会を発足し、金融システムの安定化を図ろうと取り組みが始まり、9月に破綻金融機関の処理のスキームが作られたところである。
金融システムが不安定だと経済環境が明るくならないことから、公的資金を有効に活用しながら貸し渋り問題を早期に解消する必要がある。
3.税制改革と平成11年度の税制改正問題
平成10年度の税制改正において、法人税の基本税率の引下げ、法人事業税の課税標準に見直しが行われ、法人所得課税の実効税率が49.88%から約3.6ポイント引下げられたものの欧米諸国に比べ依然高い水準にあり、経済界からは実行税率をさらに引下げ、国際水準並みにすべきとの要望が出されている。
小渕首相は、臨時国会における所信表明演説において、法人課税について赤字国債等を財源にして来年度からの実行税率の40%程度までの引下げを表明したところである。
また、法人税率など国税の見直しが行われたことから、平成11年度改正では、地方税における法人課税の見直しによる実効税率の引下げが議論の中心となることが予想される。
4.行財政改革問題
中央省庁等の改革法が国会で成立したことを受け、現在の1府21省庁体制を2001年の1月までに1府12省庁体制にすることが決定している。
通産省は経済産業省に再編されるが、経済産業省の編成方針の中で個別産業の振興等からは撤退・縮小し、市場原理に沿った政策に移行していく内容になっている。
また、中小企業施策についても中小企業の保護又は団体の支援を行う行政を縮小し、地域の役割を強化すると共に新規産業のための環境整備を重点的に行うとしており楽観できない状況である。
5.中小企業政策の見直し
中小企業近代化促進法、中小企業新分野進出等円滑化臨時措置法を次の通常国会を目指して法律を見直し、新しい法律に一本化しようという動きが進んでいる。中小企業近代化促進法は、昭和38年制定以来、中小企業の設備の近代化について大きな役割を担ってきたが、対象業種の減少、支援内容の縮減、行政改革による業種別振興策の是正要請等から、大きな転換期をむかえている。
一方、中小企業新分野進出円滑化臨時措置法は、平成12年度に失効する7年の時限立法であり、早めに手を打たないと、せっかく用意されている税制・低利融資等の有効に活用し得る政策資源が無に帰してしまうおそれがある。現在は製造業・印刷業・情報処理サービス業・ソフトウェア業の4業種に限定されている対象業種の分野を改正により拡大できればより幅広い分野で活用できることとなる。
中小企業庁では中小企業近代化審議会の場での検討を進め、中小企業支援施策の具体的な見直し作業を開始している。
この見直しでは、組合や業種別団体が中心となって事業の近代化を進めていくのではなく、やる気のある個別企業についての支援を行っていくべきであるという考え方が色濃くなっている。
しかし、組合等業種別団体が中心となっての経営改善はこれまでも成果があったし、今後も必要であるということを働きかけているところである。
最近は、各行政庁が「パブリックコメント」ということで、様々な審議会で議論した内容をインターネットのホームページに載せて一般の人からの意見を求める試みが始まっている。中小企業政策の見直しについてもこれを活用し、みなさんからの意見を求めているところであります。
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