2.吉林省の経済状況と秋田県との経済補完関係
吉林省は豊富な天然資源に恵まれ、中部は中国の主要穀物生産地域の一つに数えられています。東部と東南部には木材資源が豊富で、蓄積高、生産高は全国第二位です。省の西部は広い草原で、牧畜業も盛んです。東部には鹿や漢方薬人参など三千種の動植物が生育しています。石油、天然ガス、鉱産物も豊富で、長白山は代表的な観光名所でもあります。 吉林省との経済交流においては、木材(広・針葉樹の集成材、建築材、建具材、フローリング材、4面プレーナ材等)、石材(花崗岩の原石、延石、敷き石、玄武岩の墓石、六方石等)、穀物(コーン、大豆、こうりゃん、蒿麦、緑豆、小豆等)、山菜(天然生松茸、薇、ワラビ、たらのめ、ツリガネ人参等)、野菜(椎茸、ナメコ等)、健康食品類(漢方薬人参、れいし、五味子、桔梗、党参、蜂蜜等)、ピートモス、水苔、自動車部品、化学品などの分野が有望だと思っています。秋田県から中国へは、現在、ダンボール、タイヤ等が輸出されていますが、自動車部品、電子部品等も秋田の中小企業が考えるべきです。 例えば携帯電話ですが、中国本土における携帯電話の登録台数は、96年末の600万台から97年末には1,300万台まで拡大し、98年4月には1,600万台と、日本の3,400万台の約半分に迫る規模となりました。このまま一日当たり約1,3000台のペースで普及すると仮定すれば、単純計算で2000年には4,000万台に達すると見込まれます。現在、中国大陸で使われている携帯電話は、アメリカやスウエーデン製です。軽くて人気のある日本の携帯電話がこの厖大な中国市場を占領出来ないことは、誠に残念なことであると思っています。
引き続き、中国の輸出入取引のシステムを簡単に紹介させていただきます。80年代では、中国の輸出入業務は対外貿易輸出入公司(国営商社)だけが扱っていたのですが、改革開放政策の実施により、中国に進出した海外企業が「独資企業」「合弁企業」を作り、これらの企業が独自に輸出入業務が出来るようになりました。また、中央政府は90年代の前半に大手企業に輸出入の権限を与えましたが、中小企業に対しては、こうした権限を与えるのは未だ時間がかかると思っております。ですから、皆さんが中国の中小企業と合作しようとすれば、窓口として国営対外貿易輸出入公司(国営商社)を通さなければなりません。
(一つの例を挙げ、説明。)
吉林省と秋田県中小企業との間では経済相互補完性が強く、合作の可能性が大きく、成功率も高いと思います。しかし、現在の中国のシステムでは、残念ながら「ビジネスチャンス」はどこにでもある訳ではありません。今までの成功と失敗の経験を振り返ってみれば、こちらの考えを中国側の実情に合わせなければなりません。
日本(秋田県)の中小企業が株式会社・個人民間企業であるのに対して、吉林省の中小企業は、国営の中小企業と郷鎮企業、民間個人企業からなっています。吉林省の国営の中小企業は国の要求により、株式組合性、経営請負、リース、連合、売却、改組、合併などの改革を行って、小型国有企業の自由化と活性化のテンポを速めています。楽観的なことですが、北京市では、企業の性格や所属関係を問わず、国の産業政策と環境保護基準に適支援するとしています。いずれ吉林省もこの政策を採るべきであると考えております。改革後の吉林省の中小企業はもっと活力の満ちたものでしょう。ですから、吉林省中小企業との合作が非常に有望であると思っています。
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