新素材・新工法による商品開発と産地の創生 平成10年度中小企業活路開拓ビジョン調査・実現化事業より

 稲川町川連は秋田県内での漆器生産量の99%を生産し、約800年の歴史を誇る有名な川連塗りの里である。
 秋田県漆器工業協同組合(佐藤功平理事長)は、昭和25年2月に設立されて以来、技術開発を進め、昭和51年12月15日には通商産業省より伝統的工芸品に指定されている。
 最近の消費者動向の変化やライフスタイルの洋風化、輸入品に見られるような低価格帯商品の普及等に対処するため、平成10年度活路開拓ビジョン調査・実現化事業に取り組み、従来の木地素材であるトチ・ブナにこだわらない新素材を使った新工法による商品開発、産地ブランドを位置づけるデザイン開発を進めている。


【事業実施の流れ】  

平成10年7月27日
第1回本委員会を開催
 ●事業概要説明
 ●試作品の内容を検討
第1回ワーキング委員会を開催
 ●試作品の検討
 ●シリーズづくりについての検討
平成10年9月1日
第2回ワーキング委員会を開催
 ●試作品デザイン書案の検討
平成10年9月8日
第2回本委員会を開催
 ●試作品の選定
平成10年9月18日
第3回ワーキング委員会を開催
 ●試作品の再確認
 ●試作開始
 (試作品:50品目、約530点)
 1.まるみシリーズ
 2.ニューフォルムシリーズ
 3.たなごころシリーズ
 4.住空間シリーズ
 5.新素材バリエーション

平成10年11月10日
第4回ワーキング委員会を開催
 ●試作品(木地)の再検討
平成10年12月1日
第3回本委員会を開催
 ●試作品の確認
 ●求評会について
平成10年12月14日
第4回本委員会を開催
 ●試作品の進行状況報告
 ●原価計算について
平成11年1月13日
第5回本委員会を開催
 ●試作品の最終確認
 ●求評会について最終チェック
平成11年1月22日〜28日
試作品求評会を開催
 ●新宿京王百貨店(東京都)6階
 「うつわ倶楽部」において開催
平成11年3月5日
第6回本委員会を開催予定
平成11年3月5日
 全組合員参加による講習会を開催予定


【求評会の開催結果】  

 「ふだんづかいの川連漆器 新漆器時代」と題して平成11年1月22日(金)〜28日(木)の7日間、新宿京王百貨店において求評会を開催した。首都圏在住の多数のお客様から貴重な意見を頂き、今後の製品化に向けての目標が明確になった。



■消費者アンケートによる人気商品ベスト10
(回答数212:複数回答)
◎第1位 容れ子 5ツ組
     ………………………38ポイント
◎第2位 うどん椀温麺(ブラスター処理)
     ………………………35ポイント
◎第3位 高齢者向けセット
     ………………………23ポイント
◎第4位 小判重
     ………………………19ポイント
◎第5位 幼児用スープカップ
     ………………………16ポイント
◎第6位 幼児用セット
     ………………………14ポイント
◎第7位 うどん椀冷麺
     ………………………13ポイント
     角形重箱
     ………………………13ポイント
◎第9位 タイコ重
     ………………………12ポイント
◎第10位 給食セット
     ………………………10ポイント



■消費者からの声
◎五ツ組容れ子:合理的、厚みが良い、使いやすそう
◎うどん椀温麺:これで稲庭うどんを食べてみたい
◎高齢者向けセット:木製品を普及させるためにも是非広めて欲しい。
好感がもてる
◎給食用セットに対しても反響が大きかった。


【今後の展開と目標 (佐藤理事長より)】  

 景気低迷、環境問題など社会的にも経済的にも厳しい現況で、我々は人にやさしい器づくりを目指してがんばっております。
 高齢者向け、幼児向け、給食用など実用的な器をサンドブラスターを活用した新素材の器を研究開発し、使い手と作り手の真髄を追求してきましたが、今後は製品化(価格面、量産体制、販路開拓等)を具体的に進めていきたいと考えています。
 これからが本番ですので、組合員一同協力していく所存ですので、今後ともご支援お願い申し上げます。



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