北緯40度
vol.168

「いよいよフェリー就航へ」

〜物流・観光面で期待大〜

新日本海フェリー(株)秋田支店
開設準備室長 栗原 酬 氏

 今回は、6月末のフェリー就航に向けその準備に忙しい新日本海フェリー(株)秋田支店開設準備室長栗原酬氏にご登場頂きました。

 はじめに、秋田港が定期航路に加えられた経緯についてお聞かせください。

 秋田は北海道からみれば近くて遠い存在であり、物流にしても一番交流のし難い地域の一つではなかったかと思います。秋田はここ数年で空路、鉄道、陸路等すべて整備されたが 海の定期航路だけが取り残された状況であったと言えると思います。県当局の働きかけもありましたが、幸い当社は日本海航路を持っており、東北と北海道の人的交流、物的交流 の促進にお役に立ちたいとの願いがありました。

 3月の説明会では、特に札幌市での人気が高かったようですが…。

 秋田航路の利用促進説明会を県外では敦賀市、大阪市、札幌市の3カ所で実施しましたが札幌では100人近くの道内の物流・観光業者で会場がいっぱいになりました。今までなかったエリアということで関心が高かったんでしょうが、県内にも熱心な物流業者がたくさんいます。また、札幌や岩見沢、苫小牧、室蘭に住んでいる秋田県人会の人たちも参加していただき、物流以外にも多様な交流の可能性が期待できると思います。

 具体的にはどのような効果があるんでしょうか?

 今申し上げましたように産業や経済の振興に大きなインパクトを与えることは間違いありませんし、フェリー会社である当社としても物流がベースにならないと存続させていくこ とも困難となります。しかし海上交通は運転手不足、環境問題、交通渋滞等の緩和といったモーダルシフトの促進につながりますし、輸送コストの低廉化による流通コスト低減波 及効果も大きいものがあると思います。さらに観光の振興にも大きな効果をもたらすものと思います。秋田にもいろいろなイベントがありますし、北海道は夏が観光シーズンとい われていますが冬もイベントがたくさんあります。それも札幌だけではありません。潜在的なニーズはたくさんあると思います。

 就航する船舶はどのくらいの大きさですか?

 「ニューはまなす」「ニューしらゆり」の二艘が就航しますがいずれも17,000トン級、かっての青函連絡船のおよそ3倍ほどの大きさです。トラック150台、乗用車103台、それに船室には929名のお客さんが一度に乗船できます。 これで秋田・苫小牧間を11時間20分から12時間、秋田・新潟間は6時間10分から6時間30分で結びます。皆さんが想像している以上に大きいですよ。それにフェリーと言ってもラウンジやスポーツデッキなど客船並みの設備を持っています。単なる輸送手段としてではなく、十分に船旅を楽しんでもらえるようになっています。


 ターミナルビルの建設も含め、6月末の就航に向けて準備は大変だと思いますが、どのような毎日をお過ごしですか?

 昨年の1月に準備室を開設以来、6人のスタッフで精力的に頑張っています。まだ運輸省から認可がおりていないので公表は出来ませんが、6月末から7月上旬には営業を開始できると思います。現在中島岸壁ではターミナルビルの建設がすすんでおりますが、予約受付日も決まらない状況で苦慮しています。準備におわれておそらく連休も返上ということになると思います。

 終わりに…

 本県にとって初めてとなるフェリーの定期航路が間もなく実現する。秋田空港に加え、新幹線、秋田自動車道、大館能代空港の開業など着実に進展してきた本県の輸送・交通体系にさらに新しい1ページが加わろうとしている。選択肢は確実に1つ増え、そういう意味では豊かさが又1つ増えると言ってもいい。大きなチャンスでもあると同時に、より一層の競争時代の到来であることも疑う余地はない。
 海路は事故率が極めて少なく、かつ天候に左右される度合いも他の輸送手段に比べて著しく少ないことを取材で知った。「安定輸送、低コストがフェリーの強みです」と忙しい中、終始笑顔で応対してくれた栗原さん、航路開設後はそのまま秋田支店での責任者として活躍されることになっているそうです。(取材・文責 工藤)


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