10月6日(金)、ホテルメトロポリタン秋田において「ポイントカードサミット」が開催されました。
今回は、「地域の人との共生」を主目的とした商店街づくりを目指し、独創的な商店街活動を実践しておられる京都・西新道錦会商店街振興組合の原田理事(事務局長)から「商店街は地域の人のためにある」といった実践事例についてご講演いただいた後、『加盟店の拡大と消費者へのアピールを目指して』と題してパネルディスカッションが行われました。講演要旨並びにパネルディスカッションの概要についてご紹介します。
『お客様とのふれあいを重視したポイントカード戦略』
京都・西新道錦会商店街振興組合
理事(事務局長) 原田 完 氏
●組合カード事業の概況
ポイント、プリペイド、そして掛売りにも対応できる複合ICカードを使った「エプロンカード事業」を実施している。プリペイドカードの年間売上高は約3億1千万円。また、ポイントカード事業では年間3千万円程の取扱高となっている。 ●地域の人に頼られる街づくり
“商店街に行くことが日課”、“人とのふれあいの場が商店街”といった地元お年寄りの声を最大限に尊重し、街区内に会食サービスのできる場を提供し、お年寄りの方には会食のついでに買い物をしていただくという回遊性を目指している。
今後、商店街が生き残っていくためには、「地域の人に必要と思ってもらえる商店街」、「地域の人が安心して住める街」づくりが何より重要であり、商品の訴求力ではかなわない大型店に対抗するには「人的ネットワークの構築」しかないと考える。 ●事業の独立採算性
カード事業に参画するには、端末機への投資といったリスクとメリットを共有しなければならない。しかし、事業の独立採算性は、事業そのものの継続性を確保する上で極めて重要である。
現在、カード事業には、組合員120店舗中75店舗が参加しているが、例えば、ポイントカードの場合、1ポイント2円(2%)を組合員から徴収し、お客様が1ポイント1円(1%)で換金したとしても、1%は残る勘定になり、組合の持ち出しはない。
また、よくある「ご招待旅行」も例えば10万円分の旅行を5万円でサービスするようなことはしない。企画段階で最善のサービスを提供できるよう配慮し、旅行の付加価値を高めている。グレードの高い旅行ということで人もすぐ集まり、代理店への融通も利きやすくなるなど、好循環が生まれている。 ●組合が目指すインターネットとは
昨年11月、公的補助金を有効に活用してICカードの容量を16キロバイトまで更新・拡張したことにより、これまで以上にお客様に対する情報の提供やサービスの向上を図っている。
組合が目指すインターネットは、世界中が相手ではなく「地域に必要な情報」を「地域の人」に提供することにある。地域の回覧板的なものが提供できれば、商店街と地域住民の相互依存がより深まると思う。そうした意味で、組合が常に意識しているのは、今あるインターネット技術を、どう組合事業に活かしていくかという一点である。 ●組合の合意形成
組合では、組合員には総論で賛成してもらえれば、各論は選択自由でも構わない、実施した事業で効果が説明できればよいと考えている。組合事業を利用することで店のプラスになるし、社会奉仕にもなる。
今後とも、ソフト事業の効果を最大限活かしていきたい。組合員の意識と自覚をどう引き出すかは、組合執行部の責任であると思う。
パネルディスカッション
『加盟店の拡大と消費者へのアピールを目指して』
パネラー
京都・西新道錦会(商振)理事(事務局長) 原田 完氏
(協)横手かまくらカード会副理事長 七尾 剛氏
能代ポイントカード事業(協)専務理事 北川統愼氏
大館市大町(商振)理事(企画委員長) 泉 浩二氏
コーディネーター
本会 業務部長 斉藤信郷
はじめに、各パネラーから組合の概況、カード事業の動向についてそれぞれ発表していただいた後、本題に入りました。 加盟店の拡大策についてどのようにお考えですか?
北川 当初、100店舗加盟を一つの目標とし、事業内容や参画意向について個店を精力的に回って歩き、85店になった段階でゴーサインが出た。ただし、現在は会員数の増強もさることながら、質の向上も課題となってきている。現実には全体の2〜3割の優良店だけでポイント売上のほとんどをカバーしている状況にある。
七尾 端末機の購入費用を組合が負担するのか、それとも利用者が持つのかが大きな課題であった。しかし、「それが結果的には、お客様に還元される訳であるから、組合財産を運用しよう」という理事長の最終決断で端末機は無償配布となった。これが、最も大きな加盟店拡大策であると考える。結局、それまで独自のポイントカードを発行していた店にも同調していただき、何とか120店舗まで増加させることができた。
泉 平成7年にエリア拡大を図っているが、売上げが2割も減少するのが日常茶飯事となっている昨今、個店の体力は限界にきている。やるからには事業について共通認識を持つことが最低条件であり、賛同できる人達だけで一緒にやっていきたい。
原田 加盟店を増やすには、さりげなくお客様から未加入のお店に事業の利便性について口添えしてもらうことも一つの方法だと思う。 消費者のために、どのような販売促進、そして演出を行っていますか?
北川 販促委員には、女性をできるだけ登用して、企画に反映させている。また、理美容業など不足業種を勧誘したり、料亭では個人の法事にもポイントを出したりして喜ばれている。イベントについては、年間スケジュールを組んでいるが、人気があるといって継続するとマンネリ化に陥る危険性もあり、留意しながら実施している。
泉 イベントは頻繁に行っており、最近ではシドニーオリンピック旅行が大好評であった。招待ものには付加価値をつけることが必要だし、交換物ならタイムリー性が重要で、今の時期なら灯油など、毎日使う物がお客様に喜ばれると思う。 中央会で提案した「全県規模の合同イベント開催」についてどうお考えですか?
七尾 組合員には、組合事業を利用して売上げを伸ばすといったしたたかさが欲しいが、そのためには魅力的なイベントを打つことが必要である。(合同イベントについては)何をやるか決まっていない段階で判断するのは難しいが、みんなが力を合わせて、全県合同で何かをやろうということはよいことなので、是非、進めていただきたい。
北川 合同イベントは、お客様に話題や夢を提供する絶好の機会となる。ただし、業種、客層、客単価などそれぞれマチマチな訳であるから、できる限り参加店の売上増進につながるような事業の組み合わせを考えていただきたい。
全県でやることで、お客様にアピール出来る。 開催時期は、大きなイベントのないときの方がアピールできるのではないか。 泉 ワールドゲームズやワールドカップ或いは秋田空港や大館能代空港のチャーター便など話題性は十分ある。商店街を支えるために頑張っている仲間同士の連携でもあり、今後、実行委員会を組織して是非、企画を進めていっていただきたい。 会場・参加者からのご意見
会場からは「交換型のイベントであれば乗りやすい」「事業計画が明確にならなければ、はっきりとは言えない」「今日の話を聞いて前向きに考えたい」という意見が出されました。
最後に、総括としてコーディネーターより「合同イベントについて、皆様のお知恵を拝借しながら、前向きに進めていくことでよろしいでしょうか」という提案が会場参加者になされ、満場拍手をもってこれを承認・採択し、本サミットを終了しました。 |
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