IT戦略セミナー
ITを活用した新たな地域おこし
 IT革命が企業活動を変化させている中で、新たな創業や地域おこし活動の中でもITを戦略的に取り込むことで、成功を収めている事例が多く報告されています。
 そこで本会では「ITを活用した新たな地域おこし」をテーマに、9月4日大館市、9月5日横手市においてIT戦略セミナーを開催しました。

 講師には、自らも地ビール醸造元と酒販店をグループ化し、インターネットを活用した販売サイトを企画・運営するなど、全国各地でITを活用した様々なコンサルタント活動を展開している斉藤俊幸氏をお迎えし、実際の経験を通して得たITの活用手法についてご講演いただきました。以下はその内容についてご紹介します。
 

◆成功のための3つの法則
 私達は、ワインの販売サイトが国内で3つぐらいしかない時に、楽天市場に「ワイナリー泉屋」を開店しました。「泉屋」は東京都内の小さな酒屋として1日5万円の売上げでしたが、現在では楽天市場のEC店舗だけで年商4億円にまで成長しました。
 成功の要因は、誰も気付かなかったマーケティング手法として「メールマガジン」を活用したことです。「ワイナリー泉屋」の成功で発見した「IT活用の3つの法則」を紹介します。
(1)「千3つの法則」
  メールマガジンを発送すると、1000人に3人は必ず反応があります。これは、既存のダイレクトメールと同じ確率です。つまりメールアドレスの収集が大切であり、商売をする上での財産となります。
(2)「ギブアンドギブの法則」
   「ワイナリー泉屋」のリピーター客の8割はメールマガジンの購読者です。メールマガジンはダイレクトメールの機能も持っており、無料で楽しい情報を与え続けることが重要です。
(3)「ミームの法則」
 口コミ、うわさ話はITの大切な法則です。人は新しい情報を得たときに最低3人以上の情報を流します。この法則を「ワイナリー泉屋」の例で説明すると、ホームページで販売実績を公開することです。月の売上金額が1000万円に届きそうになると、「もうすぐ100万円だよ」という噂が広まり、「がんばれ」という声が毎日聞こえてきます。その結果、あっという間に1000万円を超えました。自分の売上をホームページで万人に公開するのは勇気が必要なことでしたが、見事に「ミームの法則」を証明しました。

◆ポイントは仕掛けづくり
 ポイントは商品の販売を考える前に、ITの特性を生かした仕掛けを考える必要があります。「楽天市場」自体は商品を売ってません。「場」を提供しているだけで、「ワイナリー泉屋」はそれを有効に活用しているだけなのです。ECビジネスを考える時には、「場」を提供して利益を得るのか、「場」を利用して利益を得るのか考えてみることと、広く情報を収集する能力が必要です。
【限定受注生産販売サイト】
 これまでの大量生産大量販売の手法はインターネットでは馴染みません。ナンバーワンからオンリーワンを目指し、顧客ニーズに即した商品販売を考えてみましょう。
【地ビール組合事業推進サイト】
 私たちは会員6,000人のコミュニティを形成し「地ビール」の本格的なマーケティングに乗り出しています。「地域活性化」の手法として地ビール醸造設備を商店街の空き店舗に設置し、地域のお客様に自分のビールを作ってもらうようなイベントもできつつあります。

◆コミュニティビジネスの時代へ
 これから地方は企業を誘致する時代ではなく、地域を自分たちで交流投資を図りながら作っていく時代です。同じ問題意識を持つ人たちとITを活用してコミュニティを形成すれば、新たな事業の可能性が見えてきます。
 2003年には酒販は登録制になります。これをチャンスに地ビール醸造設備つきの酒販店や居酒屋などの経営はどうでしょうか。
ITを有効に活用し、誰よりも早く誰も気づかない分野に挑戦して下さい。


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