年 頭 所 感
中小企業庁 長官 杉山秀二 |
平成14年の新春を迎え、謹んでお慶びを申し上げます。 昨年を振り返りますと、景気減速の中で、大型倒産、米国同時多発テロ、BSE問題なども加わり、中小企業にとってはまことに厳しい1年でありました。 年が改まり、景気の先行きは未だ不透明ではありますが、政府は日本経済再生へ向けた構造改革に全力で取り組んでおり、新年には明るい展望が開けてくることを強く期待しております。私ども中小企業庁といたしましては、中小企業の皆様が、厳しい経営環境の中にあって、本来持っておられる力を十分に発揮いただけるよう、セーフティネット整備、創業・経営革新の支援、商店街・中心市街地の活性化など、各般の施策に全力を尽くしてまいる所存であります。 このため、先般の臨時国会では、第一次補正予算で総額2,500億円にのぼる中小企業対策費を計上し、また所要の法律改正を行ったところであります。 以下、新年に当たり、今後の中小企業政策の基本方針について所感を述べさせていただきます。 厳しい経済状況が続く中、経済構造改革を推進する過程で、大型倒産や金融機関の破綻等により、やる気と能力のある中小企業の皆様までが、経営破綻に追い込まれるような事態を極力回避するため、万全のセーフティネットを整備することは、現下の最重要の政策課題であります。 このため、中小企業の当面の資金調達の円滑化と中長期的な資金調達手段の多様化を図るため、昨秋の臨時国会での法律改正により、売掛債権担保融資保証制度を創設したところであります。我が国中小企業全体の保有資産を見てみますと、売掛債権が約87兆円にのぼり、不動産の約91兆円に並ぶ規模でありながら、現状では資金調達にほとんど活用されていません。このような現状に対して、売掛債権を担保にした民間金融機関からの融資を拡大するため、その呼び水として、これを対象にした保証制度を創設いたしました。昨年12月17日に施行され、すでに制度の運用がスタートしており、皆様方に積極的にご活用いただくことを期待しております。 また、大型倒産や金融機関破綻の際に、通常と別枠で保証や融資を行う制度である、信用保証協会によるセーフティネット保証制度、及び政府系金融機関によるセーフティネット貸付制度については、更に制度を充実したところであります。補正予算で必要な資金を手当てするとともに、適用要件等を更に使い易いものにいたしました。 更に、民事再生法等の法的再建手続の途上にある潜在力を持った中小企業の再生を支援するため、DIPファイナンスを推進いたします。昨夏より商工中金が既に実施しておりますが、本年1月から中小企業金融公庫においても開始し、民間金融機関による融資の呼び水として積極的に推進してまいります。 加えて、直接金融を促進するため、平成12年度の創設した中小企業の発行する私募債に対する信用保証制度(特定社債保証制度)について、適用要件の緩和などの拡充を早急に行い、着実に推進していくこととしております。 我が国経済の明日の活力を生み出していくためには、困難な状況の中で、新事業に挑戦する力強い中小企業群が生まれ育つことが極めて重要です。このため、新しい企業の創業と中小企業の経営革新を強力に支援してまいります。 新事業分野を開拓し雇用を創出して我が国経済を活性化するためには、全国各地で創業が活発に行われることが極めて重要です。我が国では近年、開業率が廃業率を下回る状態が続いており、このような現状を打開するため、平沼経済産業大臣を中心に、政府は昨年、創業倍増計画いわゆる「平沼プラン」をとりまとめました。このプログラムに則り、現在の年間18万社の創業数を5年間で倍増することを目標に、支援策を抜本的に強化することとしております。 まず、創業者にとっての最大の課題である資金調達の支援策を強化します。具体的には、優れた事業計画を持つ創業者に、無担保・無保証人・本人保証なしで国民生活金融公庫から550万円まで迅速に融資する新創業融資制度を創設しました。また、新事業創出促進法を改正して、創業者向け保証の限度額を現行の1,000万円から1,500万円に引き上げたところであります。更に、創業者に最新の情報や知識を提供するヒトづくり支援も重要との認識から、商工会・商工会議所の「創業塾」等で専門家による能力開発支援の場を積極的に提供します。こうした施策の着実な実施により、全国各地で意欲ある創業者が次々に現れることを期待しています。 グローバルな産業再編、消費者ニーズの多様化など、昨今の大きな構造変化は、中小企業の皆様にとって、むしろ、新商品の開発や新しいビジネスモデルの実現などを通じて事業を拡大するチャンスとなり得るものです。中小企業庁といたしましては、技術の開発・事業化、人材の確保及び能力開発等の支援策を更に強化し、中小企業の皆様の前向きな経営革新をバックアップしてまいります。 地域経済の再生には、「街の顔」とも言える商店街・中心市街地の活性化が不可欠です。このためには、商店街自らが、少子高齢化やIT化などの新たな社会ニーズに的確に対応し、地域コミュニティの中心として賑わいを確保していくことが重要です。私どもといたしましても、空き店舗への保育所の設置を支援する事業を新たに開始するなど、多様な支援策を用意し、各地域の個性ある取り組みを後押ししてまいります。 以上の施策を含めた中小企業政策の具体的な内容の詳細は、インターネットの「e-中小企業庁&ネットワーク(http://www.chusho.meti.go.jp)」で御覧いただけます。このホームページでは、施策情報の提供だけでなく、電子相談窓口も設置し、皆様からのご相談にメールでお答えいたしております。また、無料で最新の情報を定期的にお送りするメールマガジン(http://www.chusho.meti.go.jp/e_chusho/melma.html) も配信しております。是非ご活用ください。 最後に、本年が中小企業の皆様にとって大きな発展をもたらす一年になることを祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。 |
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