木質断熱材を使用した
「エコ・ビオ住宅」の開発〜販売へ
〜「木質断熱材住宅開発グループ」の取り組み〜


木質断熱材を使った高断熱住宅
 能代市の(有)西方設計が中心となった「木質断熱材住宅開発グループ(4社)」は、本会が支援する「技術開発等支援事業」を活用して、寒冷地を中心に普及が進む省エネ型の高気密・高断熱住宅に、環境への配慮(エコロジー)と人体への負荷解消(バウビオロギー)の要素を付加した高性能住宅システムである「エコ・ビオ住宅」を開発し、現在、その販売に取り組んでいます。

開発の具体的内容
 製材段階で不要となるスギ樹皮(バーク)を有効活用し、かつ、地球環境や健康重視の観点を取り入れながら、(1)従来型パネルより気密・断熱性に優れた性能を持つ「スギ軽量軟質木質繊維断熱材」と(2)付加断熱機能を向上させるために住宅の外張りに使用する「同木質繊維断熱ボード」の開発、そして、(3)コストアップを吸収するために現場生産において徹底的な合理化を図った「トータル的な住宅生産システム」の3点で、これらを組み合わせ、「エコ・ビオ住宅」システムとして発展させました。


「エコ・ビオ住宅」を広めるために
 「エコ・ビオ住宅」システム開発後、そのPRに力を注いでいます。
 建築専門誌への掲載、能代市主催の「産業フェア2001」や東京有明での「ジャパンホームショー」への出展、或いは(有)西方設計のHPを活用したPR活動が奏を功し、徐々に全国の工務店、建築関連業者、一般ユーザーに浸透しはじめています。

◎HPアドレス
  http://www.shirakami.or.jp/~nisi93/

 また、合川町の「合川田の沢町営住宅」への採用や地元一般ユーザーをはじめとして実績も生まれてきており、東京に本社を置く企業が関東・関西向けに売り出す計画や、秋田市、首都圏でのモデルハウス建設計画もあり、動きは活発化してきています。
 特に、合川町営住宅に入居されている方からは、
(1) 蓄熱効果が高く、暖房費用が少なくて済む。
(2) 断熱材に炭も入っていて、空気が浄化されているので、気持ちがよい。
(3) 遮音効果もあり、外で工事を行っていても、騒音はほとんど聞こえない。

など、性能が高く評価され、好評を得ております。
 さらに、首都圏への大々的なPRを図るべく、本年1月17日から22日までの6日間「新宿パークタワー“リビングデザインセンターOZONE(オゾン)”」において展示PRも実施しました。
 期間中、1日150〜250人くらいの来場者があり、展示会をご覧になった方々からは、
(1) 木質繊維断熱材は今までなかったですね。初めて、知りました。
(2) どこへ注文すれば、手に入るか。
(3) 価格面はウレタンと比べてどうか。
(4) 断熱性能はグラスウールと比べてどうか。
など、「エコ・ビオ住宅」に対する関心の高さとともに、もう一歩突っ込んだ質問が沢山され、グループメンバーはパンフレット等で懇切丁寧に応対し、大盛況のうちに終了しました。



今後の展開
西方里見氏(グループ代表)の今後の抱負
 国民の約3割は何らかのアレルギー症状、1割は化学物質過敏症とも言われ、これらに対応した住宅需要は、総需要の2割から3割程度期待できるといわれています。
 健康志向が高まる中、この「エコ・ビオ住宅」の良さを、まずは「家を建てる一般ユーザーの方々」から納得していただき、少しずつ実績を重ねていくことから始めたいと考えています。

 本会では、今後とも、こうした「エコ・ビオ住宅」を志向する顧客ニーズ掘り起こしのための情報提供や普及啓蒙活動を支援していくことにしております。

軽量軟質木質繊維ボードの特徴
原料 木質繊維
価格 断熱性能で同じ程度の仕様であれば、グラスウールと比べると3〜3.5倍するが、ウレタンボード50mmの厚さにおおよそ対応する軽量軟質木質繊維ボード80mmの厚さでほぼ同じ価格。
80mmの厚さで約2,200円/m2、100mmの厚さで約2,900円/m2くらい。量産されると、もっとコストダウンできる。
形状 ボード、マット
断熱性能 熱伝導率は0.040〜0.045W/m・K。
吹き込みセルロースファイバーと同等で、高性能グラスウール16Kと比べると若干少ない程度。
安全性
(人体に対する)
接着剤はコーンスターチ(トウモロコシの澱粉糊)なのでホルムアルデヒドは含まれていない。
エコテストでは「推奨品」に挙げられ、発ガン性評価は「問題なし」。
エコロジー度 循環型(成長資源・リサイクル)エコロジー断熱材。
一次製造エネルギーは1m3当たり約560KW・hで、石油合成化学物質断熱材のウレタンボードと比べて35%、ポリスチレンボードと比べて80%と少なく、エコロジー・バウビオロギーの総合評価ではトップクラスである。
耐久性
施工性・
施工安全性
板状では付加断熱や外張り断熱に向き、施工安全性がある。
用途の制限 板状なので、付加断熱や外張り断熱に向いている。

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