育児・介護休業法が改正されます
改正育児・介護休業法のポイント
 仕事と家庭の両立支援対策を充実するために、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律の一部を改正する法律」が、平成13年11月9日に成立し、平成13年11月16日に公布されました。これにより、「不利益取扱いの禁止」と「職員家庭両立推進者の選任」、「国による意識啓発等」が平成13年11月16日から施行され、また、平成14年4月1日からは、「育児又は家族介護を行う労働者の時間外労働の制限」、「勤務時間の短縮等の措置義務となる子の年齢の引き上げ」、「子の看護のための休暇の措置」、「育児又は家族介護を行う労働者の配置に関する配慮」の規定が施行されます。

事項 改正後 改正前 施行期日
育児休業や介護休業の申出や取得を理由とする不利益取扱い 解雇その他不利益な取扱いを禁止 解雇を禁止 平成13年
11月16日
育児又は家族介護を行う労働者の時間外労働の制限* 1か月24時間、1年150時間を超える時間外労働を制限 規定なし 平成14年
4月1日
勤務時間の短縮等の措置義務の対象となる子の年齢の引上げ 義務…3歳未満の子努力
義務…3歳以上小学校就学前まで
義務…1歳未満の子努力
義務…1歳以上小学校就学前まで
子の看護のための休暇の措置 努力義務 規定なし
育児又は家族介護を行う労働者の配置 転勤に際して育児や介護の状況に配慮すべき義務 規定なし
職業家庭両立推進者 選任について努力義務 規定なし 平成13年
11月16日
仕事と家庭の両立についての意識啓発 国による支援措置 規定なし

* 今回の改正により新設される時間外労働の制限の規定は、育児・介護を行う一定の女性労働者について、時間外労働の上限を通常の労働者よりも低いものとする(1年150時間など)ことを定めた激変緩和措置(労働基準法133条)が平成13年度末で終了することを踏まえ、新たに男女共通の育児・介護のための時間外労働の制限の制度を定めるものです。
育児・介護休業法は、全ての制度について、男女労働者が対象となっています。
労働契約の形式上期間を定めて雇用されている者であっても、当該契約が期間の定めのない契約と実質的に異ならない状態となっている場合には、育児・介護休業の対象となることにご留意ください。

就業規則における育児・介護休業等の取扱い
[1] 育児・介護休業並びに育児・介護のための時間外労働及び深夜業の制限については、あらかじめ制度が導入され、規則が設けられるべきものであることに留意してください(子の養育又は家族の介護を行い、又は行うこととなる労働者の職業生活と家族生活との両立が図られるようにするために事業主が講ずべき措置に関する指針(以下「指針」という。))。
なお、育児・介護のための勤務時間短縮等の措置については、育児・介護休業法第23条及び第24条並びに「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律施行規則」(以下「則」という。)第34条により措置が講じられ、規則が設けられる必要があります。
また、子の看護のための休暇を与える制度を設けた場合も、規則に記載する必要があります。

[2] 労働基準法では就業規則の作成に際し、第89条第1号から第3号までに定められている事項(始業・終業の時刻、休日、休暇、賃金、昇給、退職等に関する、いわゆる絶対的必要記載事項)について必ず記載しなければならないとしています。
1. 育児・介護休業法による育児・介護休業及び子の看護のための休暇制度もこの「休暇」に該当することから、就業規則に
 (1) 付与要件(対象となる労働者の範囲等)
 (2) 取得に必要な手続き
 (3) 期間
について記載する必要があります。
2. 賃金に関する事項については、
 (1) 育児・介護休業期間及び子の看護のための
    休暇中の賃金の支払いの有無
 (2) 育児・介護休業期間中及び勤務時間短縮等の措置の
    取得中に通常の就労時と異なる賃金が
    支払われる場合には、
     a. その決定、計算及びその支払方法
     b. 賃金の締切り及び支払時期
     について記載する必要があります。

[3] 育児・介護のための勤務時間の短縮等の措置として講じる短時間勤務の制度、時差出勤の制度等については、始業及び終業の時刻等について記載する必要があります。
[4] 労働基準法第89条第3号の2から第10号までに定められている事項(退職手当、賞与等臨時の賃金、職業訓練等の定め及びその他の労働者のすべてに適用される定め)は、その定めをする場合においては就業規則に記載しなければならないいわゆる相対的必要記載事項ですから、育児・介護休業期間中の教育訓練や賞与等臨時の賃金等について定めをする場合には、それらに関する事項を就業規則に記載する必要があります。
[5] 育児・介護休業期間中に賃金を支払わないこと、退職金や賞与の算定に当たり現に勤務した日数を考慮する場合に休業した期間分は日割りで算定対象期間から控除することなど、専ら休業期間は働かなかったものとして取り扱うことは、不利益な取扱いに該当しませんが、休業期間を超えて働かなかったものとして取り扱うことは、「不利益な取扱い」に該当して育児・介護休業法第10条及び第16条に抵触しますので、制度導入に当たっては留意してください。


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