この人・この企業
Vol.6
 今回は、「生酒鮮度維持システム」で特許を取得した協同組合秋田さけぷらざの佐々木理事長にご登場願いました。

「生酒鮮度維持システムで 特許を取得」

協同組合秋田さけぷらざ
理事長 佐々木 正光 氏

■■■はじめに、今回の特許取得の経緯を教えて下さい。

  (協)秋田さけぷらざは、県内の異業種5社で平成7年7月に設立しました。通産省の中小企業創造活動促進法の認定(テーマ:特定名称酒の劣化防止生産システムの研究活用)を受け、同年度より3年間、融合化開発促進事業補助金を活用して研究した成果が「生酒鮮度維持システム」です。
 特許申請は、平成8年2月22日に行いましたが、これまで特許庁より先行特許との類似性や重複性があるという事で、拒絶通知とそれに対する意見書の提出のやりとりが5回あり、出願から6年8ヵ月経て平成14年10月にやっと取得しました。

■■■システムの概要を教えて下さい。

 生酒の劣化の原因は、生酒の中に存在する酸素が酵素の成熟を促進しすぎるためです。そこで、その酸素を除去して酵素の活動を抑えれば生酒の鮮度を維持することができます。
 そのために、窒素ガスをバブリングして酸素と置換することで解決しました。プラントは、前処理タンクでバブリング置換し、置換後の生酒は後方タンクで常温貯蔵する「バッチ式装置」です。後方タンクは、ユーザー(蔵元)が所有する既存のタンクで代替が可能です。瓶詰めする段階で、後方タンクより前処理タンクへ送流し、再度、バブリングしながら、極力酸素が残らない方法で瓶詰めするシステムです。

■■■このシステムで既に製造した生酒があるとお聞きしましたが?

 システムの研究開発段階から試作し、試験データを蓄積しながら開発してきたノウハウを継続しながら、現在、秋田清酒(株)が「おさげっこ」という商品名で限定品として販売してます。商品名の「おさげっこ」も平成12年4月7日に私が代表取締役である(株)エムアンドエムで商標登録を取得しています。
 このお酒は「生酒純米原酒無調整」で販売していますが、2002年モンドセレクションの金賞を受賞しており、その美味しさは評価されています。今回の特許取得を契機に来年には一般販売を予定しています。

■■■今後の事業化の方向性についてどうお考えですか。

 事業化の方法としては、現行の組合法では、本組合では事業化出来ないのため、共同出資会社、組合員企業或いは第三者に対する使用賃借又は譲渡が考えられます。
 今回の特許は出願から6年8ヵ月で取得しましたが、着想からは15年が経過しています。その間、仲間で検討して研究開発する本組合を設立し、特許は取得したわけですが、時間の経過の中で組合員の事業化に対する意識の違いが出てきています。このため、共同出資会社の設立、また、第三者に対する使用賃借は考えられない状況です。今後の組合員との検討しだいではありますが、組合員企業への使用賃借で事業化を図って行きたいと考えています。


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