年 頭 所 感
中小企業庁 長官 杉山秀二 |
平成15年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。 昨年を振り返りますと、景気は一部に持ち直しの動きが見られたものの、失業率の高止まり、株価の下落、世界経済の先行き懸念等、日本経済は依然厳しい状況にあり、中小企業にとってもまことに厳しい1年でありました。 年が改まり、景気の先行きは未だ不透明ではありますが、政府は日本経済再生へ向けた構造改革に全力で取り組んでおり、新年には明るい展望が開けてくることを強く期待しております。中小企業庁といたしましては、日本経済の屋台骨である中小企業の皆様が、厳しい経営環境の中にあって、本来持っておられる力を十分に発揮いただけるよう、金融セーフティネット対策、事業再生支援、創業・新事業展開への挑戦支援、商店街・中心市街地の活性化など、各般の施策に全力を尽くしてまいる所存であります。 このため、先般の臨時国会で、所要の法律改正を行うとともに、昨年末には、平成14年度補正予算において総額約5,000億円にのぼる中小企業対策関係費を政府としてとりまとめたところです。 以下、新年に当たり、今後の中小企業政策の基本方針について所感を述べさせていただきます。 厳しい経済状況が続く中、不良債権処理の加速化などにより、やる気と能力のある中小企業の皆様までが、経営破綻に追い込まれるような事態を回避するため、金融セーフティネット対策に万全を期すとともに、厳しい経営状況に陥った中小企業の再生を支援していくことが、現下の中小企業対策にとって、最重要の政策課題であります。 金融セーフティネット対策としては、まず信用保証制度を一層充実するため、先の臨時国会において中小企業信用保険法の一部改正を行い、昨年末にすでに施行しております。これは、金融機関の合併・再編、支店や従業員の削減等の影響を受け、借入れが減少した中小企業などを新たにセーフティネット保証の対象に追加するものですが、その実施にあたっては、数で6割、中小企業向け融資残高で8割をカバーする金融機関を指定するなど、大胆かつ広範なセーフティネットを構築することにしております。 また、平成14年度補正予算において、現下の厳しい資金繰りを楽にするため、借換融資に対する保証等を行う「資金繰り支援保証制度」を創設するとともに、赤字が見込まれる信用補完制度の財政基盤強化などの措置を盛り込んでいます。以上の措置により、やる気と能力がある中小企業に対し円滑な資金供給が行われるよう10兆円程度の保証規模を確保いたします。 次に、政府金融の活用としては、デフレ経済の下で、十分な担保力を有しない中小企業者が増加していることにかんがみ、商工中金の貸し渋り対応無担保融資制度の限度額の引き上げを行ったところですが、さらに、民事再生に至った中小企業者等が再挑戦することを後押しするため、商工中金や中小公庫の事業再生融資(DIP融資)制度を拡充してまいります。 中小企業の事業再生支援については、中小企業の多様性、地域性といった特性を考慮し、きめ細やかに対応していくことが必要であります。このため、各地域の商工会議所等に事務所を置いて、新たに「中小企業地域再生協議会」を設置し、地域一体となった中小企業再生の取り組みを支援することといたします。あわせて、中小企業信用保険法の改正で創設した事業再生保証(DIP保証)制度や中小公庫と商工中金に新たに設置する企業再建のための融資制度など、金融面の支援も充実してまいります。 我が国経済の明日の活力を生み出していくためには、困難な状況の中で、個人の創業及び新事業に挑戦する力強い中小企業群が生まれ育つことが極めて重要です。果敢に挑戦する中小企業に対して、中小企業庁といたしましても、資金調達、人材の充実・育成、技術革新支援など強力かつ多面的な支援を行ってまいります。 そのためにまず、先般の臨時国会で「中小企業挑戦支援法」として関係諸法を改正しました。これは、株式会社1,000万円の最低資本金規制の特例、企業組合制度の要件緩和、投資事業有限責任組合制度の投資対象の拡大等を内容とするもので、創業・新事業展開がより一層容易に行われるような環境を整備いたしました。 また、資金面での支援策としては、昨年に創設し大変好評をいただいたております「新創業融資制度」(ビジネスプランを審査し、その的確なものについては、無担保・無保証・無本人保証で融資)について、女性、中高年者等による新規開業に対して金利の低減を行うとともに、先般創設した「起業挑戦支援無担保貸出制度」(独創的な技術・アイディアにより新規性の高い事業に取り組む中小企業に対する融資制度)を積極的に推進してまいります。 人材面の支援策としては、企業OBなどの有為な人材と中小企業との人材マッチングについて新たに支援するとともに、創業に必要なスキル習得のための実践的短期集中研修である「創業塾」を大幅に拡充することとしております。 技術面の支援としては、製造業の国際競争力を強化するため、新たに基盤的・戦略的分野(金型・ロボット部品等)の技術開発プロジェクトを集中的に支援していくとともに、産学官連携の利点を活かしたコンソーシアム形式による研究開発支援等を積極的に実施してまいります。 これらの施策により、創業や新事業展開の挑戦に取り組む中小企業を支援し、我が国中小企業の競争力強化に努めてまいります。 現下の厳しい地方経済の状況にあって、地域経済の再生には、「街の顔」とも言える商店街・中心市街地の活性化が不可欠です。個性と活力ある中心市街地を実現するため、大型空き店舗に新規創業店舗やコミュニティ施設を整備する事業の支援を新たに行うとともに、アーケード整備やイベントへの支援等、地域住民と一体となったまちづくりに対し、きめ細やかな支援を行って参ります。 以上の施策を含めた中小企業政策の具体的な内容の詳細は、インターネットの「e-中小企業庁&ネットワーク(http://www.chusho.meti.go.jp)」でご覧いただけます。このホームページでは、施策情報の提供だけでなく、電子相談窓口も設置し、皆様からのご相談にメールでお答えいたしております。また、無料で最新の情報を定期的にお送りするメールマガジンも配信しております。是非ご活用ください。 最後に、本年が中小企業の皆様にとって大きな発展をもたらす一年になることを祈念いたしまして、私の新年のご挨拶とさせていただきます。 平成15年 元旦 |
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