この人・この企業
Vol.8
 今回は、今月よりバイオマス発電施設が本格稼働する能代森林資源利用協同組合の鈴木理事長にご登場願いました。

「捨てればごみ、生かせば資源」

能代森林資源利用協同組合
理事長 鈴木 光雄 氏

■■■はじめに、全国初の協同組合方式でのバイオマス発電事業に取り組もうとした経緯を教えて下さい。

 我々木材関係者は、平成12年に改正された「廃棄物処理法」や同年に施行された「ダイオキシン類特別措置法」に関連して、杉樹皮や製材端材を焼却していた既存の小型焼却炉は、平成14年12月1日から使用出来なくなることからその対応を検討していました。
 ダイオキシン類の排出基準をクリアするためには、新規設備の導入や既存施設の改良が必要でしたが、この経済下で新たな投資することは、企業経営上非常に厳しいものがありました。そのため、米代川流域林業活性化協議会で地域内の業者が参加できるバイオマス発電事業を検討して来ました。それが短期間で実現に向けスタートが切れたのは、発電した電気及び蒸気を組合員であるアキモクボード(株)が購入してくれる事で、事業の採算性が確立されたためです。
 それを踏まえ、(協)能代製材協会、(協)秋田県銘木センター、白神森林組合、アキモクボード(株)及び(株)鈴光で組合を設立(平成13年7月)し、国の「森林バイオマス等活用施設整備事業」の補助金を活用し昨年5月から施設の建設に取り掛かりました。施設は昨年末に完成し、現在試運転中です。

■■■事業の概要について教えて下さい。

 計画としては、発電用タービンを回す燃料として年間54,000tの樹皮類を使用し、毎時3,000kwの電力と同24tの蒸気を産出します。この産出する電力と蒸気は施設に隣接するアキモクボード(株)に販売します。
 樹皮、端材等の受け入れは、組合員からはt当たり1,500円、非組合員からは3,000円の利用賦課金を徴収し、電力と蒸気の販売を含めて全体の収入は年間240百万円を見込んでいます。

—施設の仕組み

■■■全国の市町村や木材業界からの視察申込みが多いなど、全国の注目を集めている中での事業スタートですが、今後の抱負をお願いします。

 これまでの事業実施は、各企業がエネルギーコストを下げるために、事業を実施するケースでしたが、地域の企業が合同で参加して事業を実施する初めてのケースという事で注目を集めていると思います。この事業に取り組めたのは、資源を提供できる企業があり、エネルギーを利用できる企業があるという「木材の街・能代」だから可能だったと思います。
 施設の処理能力では、秋田県内の年間排出量の3割から4割はカバーできます。木材業界は、不況下に加え、環境問題をクリアするための新たな設備投資という問題を抱えていますが、この事業によりコストダウンが可能です。能代だけではなく、本県の基幹産業である木材産業の一助になるためにも事業を成功させたいと考えています。

※バイオマス発電
植物などの生物体(バイオマス)を構成する有機物を化学反応させて発電する。


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