この人・この企業
Vol.10
 今回は、本会の機能性食品研究会のメンバーで、新製品開発に積極的に取り組んでいる林泉堂(株)(秋田県製麺(協)組合員)林専務にご登場願いました。

「準ナショナルブランドを目指して」

林泉堂 株式会社
専務取締役 林 博樹 氏

■■■機能性食品研究会の今年度の研究テーマであるオリゴ糖を活用した「発芽玄米ざるめん」を開発したほか、以前から積極的な新製品開発に力を入れておりますが、その成果について教えて下さい。

 消費者には、林泉堂=十文字ラーメンというイメージが強く、定着しているという強味はありましたが、営業でスーパー等を回ってみると、バイヤーの評価が低く、売上を伸ばすためには新製品の開発が必要でした。
 新製品開発に取り組み、初めにヒットしたのが「稲庭本生うどん」でした。本来乾麺である稲庭うどんを消費者に気軽に食べてもらうために開発しましたが、受け入れられ多くの店舗で販売することができました。この後開発した製品では、「秋田比内地鶏ラーメン」は比内地鶏のブームもあるものの、「2002年モンドセレクション大金賞」や「第3回全国地場産業優秀技術・製品表彰優秀賞」を受賞したほか、「冷麺」、「秋田しょっつるラーメン」、「特別製造十文字ラーメン」、「ギバサ涼めん」等、モンドセレクションや開発コンクールの各賞を受賞しています。
 新製品の開発により、大手スーパーの青森、秋田、山形の全店に並ぶ等、取引先及び販売量が増加しております。
 業績も2002年12月期決算で前期比140%、2003年1月及び2月は、前年同月比140%と大幅に売上高を伸ばしております。

■■■新製品の開発だけでなく、業務の効率化に積極的に取り組んでいますが、その内容について教えて下さい。

 販売数量の増加に伴い、業務量の増加に対応するため、効率化によるコストダウンも大きな問題でした。そこで、12年4月に県の中小企業経営革新支援法の認定、さらに13年4月には国の戦略的情報化投資プロジェクト発掘・育成支援事業費補助金を受け、ITを活用した業務効率化を図りました。導入したシステムにより、お客様からの電話対応から工場への生産指示、在庫管理、出荷指示など徹底した業務の管理が可能になり、低コストで高品質な商品の開発・生産に大いに役立っています。
 また、13年3月には生産ラインを一新するため本社工場を移転しました。工場は、HACCP対応の衛生的な食品工場であり、さらに、食品の運搬や包装に使用する素材については発砲スチロールを全廃し、消費者の健康面にまで徹底して配慮しています。

■■■本会のショッピングモールにも参加するなど、インターネットによる販売にも力を入れていますが、現在の状況について教えて下さい。

 実際の販売数は、電話での注文が圧倒的に多いです。しかし、販売ツールとしてインターネットは大きな魅力です。自社のショッピングページのアクセス件数は、1日1,000件、オーダー率は0.1〜0.2%ですが、このアクセス件数を10,000件、オーダー率を1〜2%にするのを目標にしています。そのために、消費者の購買意欲を刺激するコンテンツの魅力を高める必要があります。自社の努力が直ぐにアクセス件数に反映されるので、手を抜くことができません。

■■■将来の目標を教えて下さい。

 これまで、家族経営の企業でしたが、企業経営に脱皮するために経営革新を図っています。まだ、秋田県の十文字町の企業ですが、素材の良い所があれば、県外にも進出して行きたいたいと考えています。自社を大きくするためには、複数の工場を東北各県に建設することも視野に入れ、「林泉堂」を東北を代表する準ナショナルブランドにすることを目標にしています。



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