介護事業の創業塾を開講
〜創業に意欲的な37名が受講〜


 去る9月27日(土)・28日(日)の両日に亘り、秋田市の中央シルバー内で「創業にチャレンジ!自分たちで職場創りをしてみませんか」というテーマで介護事業の創業塾を開講した。
 今回の創業塾には、募集定員を上回る37名が受講し、介護事業を始めるための資金調達や助成金の申請方法などを熱心に受講していた。また、受講者は希望別に通所介護(デイサービス等)と訪問介護(ホームヘルプサービス)の2コースに分かれ、それぞれ専門分野のコンサルタントから講義を受けた。講座の内容として、ゴール(目標)の設定やマーケット調査、事業計画書の策定等の起業に向けた実践的な講習が中心のカリキュラムが組まれ、受講者からは好評を博した。
 本会では、3月に行った「創業・企業経営刷新プラザ」以降も引き続き積極的な創業支援を行っているが、今回もその一環として開催したものであり、10月24日(金)は大館市で、31日(金)は横手市でそれぞれ創業プラザを開催した。

○企業組合制度の緩和について
 昨年11月に「中小企業挑戦支援法」が成立し、その一環として企業組合の組合員要件や従事比率及び組合員比率などの規制が緩和され、企業組合が活躍できる機会が拡大された。このため、この数年創業の夢を企業組合で叶える事例が多く見られることから、今回、企業組合制度の内容や県内で活動している企業組合の事例を取り上げた。

○企業組合制度は個人の創業を応援する制度です。
 企業組合は、事業者、勤労者、主婦、学生などの個人4人以上が組合員となって資本と労働を持ち寄り、自らの働く場を創造するための組織です。
 組合自体が、それぞれの有するアイデアや技能、技術などを活かした事業を会社と同じように法人格を有する一個の事業体として実施する組織であり、個人が集まって創業するための組織です。

○学歴・年齢・性別不問、働き方や給料はみんなで決定、
 それが企業組合です。
 組合員には、年齢、学歴などの制限は全くありません。勤務時間など、どのような働き方をするかは、組合員が全員で決定することができます。
 組合員の働く場を確保することが最大の目的ですから、一定の割合の方々には事業に従事する義務が課せられていますが、組合員以外の有効な外部経営資源を活用するため、一定の制限のもとに株式会社などの法人や任意団体も加入でき、連携しながら事業展開することができます。

○企業組合は会社や任意団体などと比べて、
 こんなに有利な組織です。
[1] 最低資本金制度が適用されません。
 企業組合に対しては、有限会社(300万円)や株式会社(1,000万円)のように最低資本金制度(商法の最低資本金規制に特例が設けられ、会社設立後5年間は最低資本金の適用が除外されましたが、この場合、5年経過後には資本金を300万円、1,000万円にしないと解散等となります。)が適用されませんので、少額の出資金で組織を作ることができます。
[2] 税制上の優遇措置が適用されます。
 企業組合は税制上、株式会社と同じく普通法人として扱われますが、出資総額が1億円以下の場合には、年間所得800万円以下の部分に対する法人税については中小法人と同様、軽減税率が適用されます。
[3] 組合員には有限責任制度が適用されます。
 企業組合の出資者である組合員には株式会社と同様に有限責任制度が適用されるため、組合員にはそれぞれの出資額を限度としてしか組合の有する債務の弁済に対して責任を負いません。
[4] 組合運営に対する発言権は平等です。
 組合員には出資額の多い少ないに関係なく、議決権・選挙権が平等に与えられますので、組織の民主的な運営が確保されます。また、組合員には事業運営に対して平等の権利が与えられます。
[5] 事業に従事する組合員には勤労者としての地位が与えられます。
 事業に従事する組合員に対する社会保険(健康保険・年金保険)制度、労働保険(雇用保険・労災保険)制度の適用については、原則として勤労者と同様の取り扱いを受けることができます。
[6] 営利追求できる組織です。
 企業組合は、株式会社などと同じく営利を追求できる組織です。
[7] 国、行政庁や専門金融機関の支援を受けることができます。
 商工中金や国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などの政府系金融機関や県などを通じて中小企業施策の受け皿となることができます。

○企業組合による創業・新事業創出への挑戦
 企業組合は、戦後の混乱期に小規模事業者や復員軍人等の職場の確保を図るために創設された制度であり、その後も主として小規模事業者向けの事業組織として活用されてきたが、昭和50年代に入り、主婦や高齢者達がワーカーズコレクテイブとして自らの働く場の創出・確保のために利用し始めた。
 近年、主婦や企業をリタイヤした人達或いはリストラに遭った中高年齢者などの人達が集まり、自らが有する経験・ノウハウ等を活かし、「企業組合」という組織を設立して、新しい事業にチャレンジしたり自らの働く場の創出・確保を図ろうとする動きが全国的な傾向として広がり、創業組織として再び注目を集めている。

○最近の企業組合の動向
 最近5年間の全国の企業組合の設立数は、平成9年度から増加傾向に転じ、10年度24組合、11年度42組合、12年度82組合と前年度に比べて2倍の伸びを示しており、13年度は81組合、14年度は117組合となっている。
 因みに、本県での企業組合の設立を見ると、平成12年度は、「企業組合ほっと」(本荘市)と「企業組合男鹿半島振興会」(男鹿市)の2組合、平成13年度は、「企業組合秋田石販」(秋田市)の1組合、平成14年度は、「企業組合孫の手サービス」(由利町)の1組合、平成15年度は、これまでに「企業組合秋田福祉サービス」(秋田市)と「企業組合わか杉保育園」(秋田市)の2組合が誕生している。
 本会では、創業に対する支援を平成12年度から積極的に推進しており、その意味で、ここ数年の企業組合の設立数を見ると、本会の支援策が着実に実を結んできている。

○企業組合による多様な創業活動の展開
 本県の最近の企業組合を見ると、様々な事業分野の組合が設立されており、多様な創業活動を展開している。
(1) 介護・福祉ビジネス
 最近の新しい動きとして注目されているのが、介護・福祉サービス分野での企業組合である。
 看護婦経験者など4人が介護施設を設置し、通所介護や居宅介護を行っている「企業組合ほっと」、中国灸やアロマテラピーによる施術のサービスによって差別化を図っている「企業組合孫の手サービス」、幅広い知識と技術を有したホームヘルパーの育成を図り、利用者が自活した生活を過ごせるよう支援している「企業組合秋田福祉サービス」などの組合がある。

(企)ほっと施設内
(2) 地元資源の活用による地域振興ビジネス
 地域振興を目指し、男鹿の深海水にこだわり4人で天然塩づくりを始めた「企業組合男鹿半島振興会」(平成14年度全国地場産業優秀製品表彰・優秀賞受賞)

(企)男鹿半島振興会
(3) 高齢者の生きがい支援
 高齢者の生きがいにつながる職場の確保を目的として、墓石販売や設置に携わっていた5名が中心となり、これまでの豊富な経験、技術、人脈を活かし、墓石販売及び設置を事業として活動している「企業組合秋田石販」

(企)秋田石販
(4) 楽しさと賑わいを演出
 イベント会社の社員が、自身の企画を実現すべく脱サラし、同業者の仲間とともに企業組合を設立し、県民に楽しさと賑わいを提供する総合イベント会社を目指している「企業組合スラップアップ・エージェンシー」

(企)スラップアップ・エージェンシー
(5) 子育て支援ビジネス
 最近では、9月に設立した「企業組合わか杉保育園」は、秋田県の平成15年度開業・開店起業化支援事業を活用して、園に預けた保護者が手持ちのパソコンや携帯電話で、何時でも我が子の園内での様子を見ることができるシステムを導入し、自宅に戻ってからもその延長として一貫した子育てができるように補完的な役割を備えたこれまでにない新たな保育を目指している。

(企)わか杉保育園施設内

【秋田県内の企業組合】
No. 組   合   名 所在地
1 秋田屋根工事(企) 秋田市
2 (企)田原商会 秋田市
3 (企)秋田北部清掃興業 秋田市
4 (企)秋田中高年雇用福祉事業団 秋田市
5 秋田かまぼこ製造(企) 本荘市
6 (企)佐々木製縄工場 大曲市
7 大曲金属工業(企) 大曲市
8 白浜観光(企) 田沢湖町
9 田沢湖高原観光(企) 田沢湖町
10 (企)越後谷薬局 秋田市
11 秋田菓子製パン(企) 秋田市
12 (企)赤川印刷 横手市
13 (企)ほっと 本荘市
14 (企)男鹿半島振興会 男鹿市
15 (企)秋田石販 秋田市
16 (企)孫の手サービス 由利町
17 (企)スラップアップ・エージェンシー 秋田市
18 (企)秋田福祉サービス 秋田市
19 (企)わか杉保育園 秋田市
 本会では、こうした企業組合制度を活用した創業等を支援しております。是非、お気軽にご相談下さい。


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