年頭所感

中小企業庁
長官 望月晴文

 平成16年の新春を迎え、謹んでお慶び申し上げます。
 昨年を振り返りますと、景気は持ち直してきているものの、デフレや雇用情勢の厳しさは依然として続いております。また、中小企業の景況は大企業に比べて回復の遅れが見られ、中小企業にとってはまことに厳しい一年でありました。
 年が改まり、景気の先行きには未だ不透明な部分はありますが、企業収益、個人消費ともに回復の兆しを見せる中、政府としても日本経済再生へ向けた構造改革に全力で取り組んでおり、新年にはこうした明るい兆しが確固たるものとなることを強く期待しております。中小企業庁といたしましても、日本経済再生の基盤となる中小企業の皆様に新たな展望を切り開いていただけるよう、中小企業金融対策、中小企業の再生支援、創業・新事業への挑戦支援など、各般の施策に全力を尽くしてまいります。
 以下、新年に当たり、今後の中小企業政策の基本方針について所感を述べさせていただきます。
 厳しい経済状況が続く中、経済構造改革の推進にともなう不良債権処理の加速化などにより、やる気と能力のある中小企業の皆様までもが経営破綻に追い込まれるような事態は回避しなければなりません。同時にこうした厳しい経済情勢にあっても新たな事業に挑戦し、活路を切り開こうと賢明に頑張る中小企業・個人を応援し、新たな展望を切り開いていくことが極めて重要です。このような認識の下、当面の中小企業対策といたしまして、3つの柱に重点を置いてまいります。
 まず第一の柱は、中小企業金融対策です。これまでもやる気と能力のある中小企業の資金繰りに支障を来すことのないよう、セーフティネット貸付・保証を充実し、資金繰り円滑化借款保証制度を創設するなど、各般の措置を講じてきたところでありますが、今後とも金融セーフティネット対策には万全を期してまいります。
 また、中小企業の隅々にまで資金が行き渡るよう、中小企業金融の手法や主体の多様化を図り、中小企業金融の機能強化を進めてまいります。これまでも売掛債権担保融資保証制度など、不動産担保や保証人に依存しない融資の拡大に取り組んできたところですが、今後は、中小企業向け貸出債権の証券化支援など、手法の多様化を更に進めるとともに、信託会社を証券化支援や信用補完制度の対象とすることも検討するなど、主体の多様化も進めてまいります。
 第二の柱は、中小企業の再生への取組みの支援です。現在、全国すべての都道府県に設置が完了した中小企業再生支援協議会を軸に、地域金融機関等、地域の関係者の総力を結集して中小企業の再生を支援してきております。この結果、相談取り扱い案件数は2,500企業を超え、再生計画策定対象案件は約180件となっております。今後、本格的に稼働を始めた中小企業の再生の動きを更に加速させていくため、全国の協議会の常駐専門家を増員するなど、協議会の更なる強化を図ります。
 また、こうした地域中小企業の再生への取組を財務面から強力に後押しするため、産業再生法に基づく地域中小企業再生フアンドの組成を各地で進めてまいります。ファンドは、中小企業総合事業団や地域金融機関などの出資を受け、再生支援協議会と連携を密に取りながら、出資先企業に対しては本格再生まで継続的な支援を実施してまいります。
 最後の柱は、中小企業の創業・新事業への挑戦の後押しによる新規産業や雇用の創出であります。円滑な資金供給の確保、人材育成への取組み、新技術の開発等を一体的に強力に支援してまいります。
 資金面での支援に関しては、元々担保などをあまり持たない創業者に対して、ビジネスプランを審査し、無担保・無保証・本人保証も無しで融資を行う「新創業融資制度」を実施しており、好評を得ておりますが、今後、融資限度額を引き上げ、創業のための資金需要に積極的に応えてまいります。
 人材育成への取組みといたしましては、創業を志す方々を対象に、ビジネスプランの完成等に必要な実践能力を短期間で修得するための「創業塾」を実施しております。今後もこれを拡充し、創業に必要なスキルを持った人材の育成を進めてまいります。
 技術面の支援といたしましては、新技術やビジネスプランの評価・研究開発から事業化までを技術と経営の両面から一貫して支援する、「スタートアップ支援」を新たに開始いたします。事業性や新規性の高い技術シーズやビジネスプランを重点的に発掘・支援することで、創業・新事業展開を強力に促進いたします。
 また、地域経済の核となっている中小企業の新事業への挑戦を応援するため、ファンドの組成を中心とした支援を行ってまいります。優れたアイデアや技術を持っているにもかかわらず、資金や商品開発・販路開拓のノウハウがないために新事業展開に踏み切れない中小企業は、非常に多くなっております。このため、民間パートナーと「がんばれ!中小企業」ファンドを組成して資金供給を行うとともに、手作りの息の長い経営支援を行ってまいります。
 以上の施策を含めた中小企業支援策についてのご相談等に対して迅速に対応するため、全国どこからかけても最寄りの中小企業総合事業団の支援センターにつながる、がんばる中小企業「なんでも相談ホットライン」(0570-009111)を昨年12月に開設いたしました。この電話番号では、相談員が即座に対応し適切なアドバイスを行う他、事業団のツールによる支援や関係支援機関への紹介を含めたワンストップサービスを実現しております。また、政策の詳細は、インターネットの「e-中小企業庁&ネットワーク(http://www.chusho.meti.go.jp)」で御覧いただけます。このホームページでは、施策情報の提供だけでなく、電子相談窓口も設置し、皆様からのご相談にメールでお答えいたしております。また、無料で最新の情報を定期的にお送りするメールマガジン(http://www.chusho.meti.go.jp/e-chusho/melma.html)も配信しております。是非ご活用ください。



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