平成15年度 事業協同組合実態調査結果の概要
〜組合員数は43.0%が減少傾向
事業面での障害・問題点は「既存事業の停滞」が第1位〜

 中小企業は、我が国経済の活力の源泉として、また、雇用の担い手として重要な役割を果たしているが、今後、競争力を維持強化し、その発展基盤を強固なものとしていくためには、中小企業組合をはじめとする多様な連携組織を活用し、環境の変化にこれまで以上に積極果敢に対応していくことが強く求められている。
 本調査は、このような厳しい経営環境の中で秋田県内の事業協同組合を対象に、組織・運営体制・財務・環境変化への対応及び今後の方針など全般について調査を行った。
 詳しい内容については本会調査広報課(Tel.018-863-8701)までお問い合わせ下さい。

【調査概要】
●調査時点 平成15年11月1日
●調査対象 秋田県内334事業協同組合
●調査方法 郵送調査
●回答組合 179組合
●回 収 率 53.6%

1 〜組合員数は43.0%が減少傾向〜
 最近3年間の組合員数の増減を見ると、「あまり変化なし」が52.0%と半数を占めている反面、「減少傾向」は43.0%と平成12年度調査に比べて4.5ポイント増加している。(図—1)
 <図ー1 組合員数の増減状況>

2 〜事業面の障害・問題点では「既存事業の停滞」が46.9%と最も多い〜
 事業面の障害・問題点では「既存事業の停滞」が46.9%と最も多く、次いで、「組合事業と競合する外部企業等の進出」が23.5%、「資金不足」が17.9%、「事業利用の特定組合員による偏り」が16.8%となっており、前回調査と比較すると「組合事業と競合する外部企業等の進出」の割合が高くなっている。(図—2)
 <図‐2 事業面の障害・問題点(複数回答)>
1.既存事業の停滞(金融事業を除く)  2.金融事業の不振
3.事業利用の特定組合員による偏り
4.規制緩和等環境変化に対応した有効事業の見つけにくさ
5.員外利用に対する制約  6.情報・技術等ソフト事業の即効性の乏しさ
7.組合事業と競合する外部企業等の進出  8.施設・機器の陳腐化
9.資金不足  10.その他

3 〜「組合員間の意思疎通を図るため、定期的に会合を開く」が
問題点に対する対策のトップ〜
 問題点に対する対策では、「組合員間の意思疎通を図るため、定期的に会合を開く」が49.7%と最も多く、次いで、「組合員数の増加を図る」が19.0%、「競争力のない事業は行わないようにする」が12.8%となっている。(図—3)
 <図‐3 問題点に対する対策(複数回答)>
1. 競争力のない事業は行わないようにする
2. 組合事務局職員を増員し、有能な人材を配置する
3. 組合員間の意志疎通を図るため、定期的に会合を開く
4. 組合員以外の利用率を高める
5. 機械・設備の新設、更新に努める
6. 別組織を作って対処する
7. 増資、制度融資、金融機関借入など資金調達の多様化を図る
8. 組合員数の増加を図る
9. 特別な対応策などはとらない
10. その他

4 〜26.9%の組合で常勤理事を設置〜
 常勤理事を設置している組合は、全体の26.9%に止まっているが、前回調査よりは3.7ポイント増加している。(図—4)
 <図‐4 常勤理事の設置状況>

5 〜事務・管理職員を設置している組合は65.9%〜
 事務・管理職員は、「1人」が31.8%と最も多く、次いで、「2人」が19.6%、「3人」が4.5%となっている。
 ちなみに、1組合平均の事務・管理職員は、2.4人となっており、前回調査に比べて0.2人増加している。(図—5)
 <図‐5 事務・管理職員の設置>

6 〜組合事務所は34.6%の組合で所有〜
 組合事務所の設置形態を見ると、「賃貸」が3 8.7%と最も多く、次いで、「所有」が34.6%となっている。(図—6)
 <図‐6 組合事務所の設置形態について>
  1.共同事業収入(金融事業収入を除く) 2.金融事業収入
  3.賦課金収入  4.賛助会費(金)収入  5.補助金収入  6.その他

7 〜共同事業収入が収入のトップ〜
 <図‐7 組合の主要な収入>
 組合の主要な収入を複数回答により上位3項目 を選んでもらった回答の中で、第1位として最も多かったのが「共同事業収入(金融事業収入を除く)」で43.0%を占めていた。第2位は、「賦課金収入」の25.1%、第3位は「その他」の8.9%となっている。(図—7)

8 〜平成14年度の「黒字」組合は52.5%〜
 直近3年度の決算状況(税引き前損益)をみると、平成12年度は、「黒字」が46.9%、「赤字」が26.3%、平成13年度は、「黒字」が44.7%、「赤字」が29.6%、平成14年度が、「黒字」が52.5%、「赤字」が22.9%となっている。(図—8)
<図‐8 直近3年度の決算状況>

9 〜14.5%の組合で配当〜
 平成14年度において、「配当した」組合は14.5%、「配当しなかった」組合は83.3%となっている。
 配当の方法では、「利用分量配当のみ」が38.5%、「出資配当のみ」が34.6%となっており、「出資配当と利用分量配当の両方」を行った組合が26.9%となっている。(図—9,10)
 <図‐9 平成14年度の配当状況>
 <図‐10 配当の方法>

10 〜収益力強化策として「既存共同事業の活性化」が38.5%で第1位〜
 組合の収益力強化並びに改善のために現在若し くは今後予定している方策について上位3つを選んで回答してもらった中で、「既存共同事業の活性化」が38.5%と最も多く、次いで、「新たな共同事業の開始」が15.1%と、この2つで5割を超えている。
(図—11)
 <図‐11 収益力強化及び改善強化対策>
1. 新たな共同事業の開始
2. 既存共同事業の活性化
3. 赤字の共同事業の廃止
4. 賦課金の増額
5. 転貸手数料の値上げ
6. その他手数料の値上げ
7. 増資
8. 事務局の経費節減
9. 現業部門の経費節減
10. 組合員の新規加入の促進
11. 保有している土地施設等の有効活用
12. その他

11〜組織運営体制面の重点事項は、「組合員の意識改革」が50.8%を占める〜
 組合の組織運営体制面における今後の重点事項 をみると、「組合員の意識改革」が50.8%と最も多く、次いで、「既存事業の拡大強化」が36.3%、「組合員の増加」が29.6%、「財政基盤の強化」が27.4%と続いている。(図—12)
 <図‐12 組織運営体制面における重点事項(複数回答)>
1. 組合員の意識改革
2. 財政基盤の強化
3. 組合員の増加
4. 既存事業の拡大強化
5. 新規事業の実施
6. 執行体制の強化
7. 事務局の強化
8. 組合員との連携強化
9. 他の組合・企業との交流
10. 産学官交流
11. 8〜10以外との連携強化

12 〜事業面における重点事項では
「組合員事業の活性化策の策定」が45.8%とトップ〜
 組合の事業面での今後の重点事項をみると、「組合員事業の活性化策の策定」が45.8%と最も多く、次いで、「教育情報事業」が33.0%、「共同購入等共同経済事業」が32.4%、「販売促進事業」が30.2%となっている。(図—13)
 <図‐13 事業面における重点事項(複数回答)>
1.教育情報事業  2.組合員事業の活性化策の策定
3.コンピュータを利用したネットワークの構築  4.共同購入等共同経済事業
5.販売促進事業  6.共同施設の設置・利用  7.研究開発事業
8.共同労務管理事業  9.金融事業  10.政策提言活動
11.事務代行事業  12.環境・安全問題等新たな社会要請への対応  13.その他

13 〜国等の助成制度は、約4分の1の組合が活用〜
 最近3年間に助成制度を「活用した」組合は27.4%、「活用していない」組合は69.2%という状況になっている。(図—14)
 <図‐14 組合に対する助成制度の活用>



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