「大規模小売業告示」の概要とポイント
 公正取引委員会は、本年5月に「大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法」(公正取引委員会告示11号。以下「大規模小売業告示」)を指定、また、本年6月に「大規模小売業告示の運用基準」を策定し、この大規模小売業告示を平成17年11月1日から施行することとしています。
 以下に、この告示で規定されている主な禁止行為のうち「不当な返品」と「不当な値引き」についてご紹介します。

大規模小売業告示の概要
大規模小売業告示(大規模小売業者による納入業者との取引における特定の不公正な取引方法)とは、大規模小売業者による優越的地位の濫用行為を規定するルールです。
【大規模小売業告示の法的位置付け】
○独占禁止法
 第2条
 ⑨ この法律において「不公正な取引方法」とは、次の各号のいずれかに該当する行為であって、公正な競争を阻害するおそれがあるもののうち、公正取引委員会が指定するものをいう。
 第19条 事業者は、不公正な取引方法を用いてはならない。
 第72条 第2条第9項の規定による指定は、告示によってこれを行う。

***大規模小売業告示で規定する禁止行為***

1 不当な返品(告示第1項)
 大規模小売業者が納入業者から購入した商品を返品することを原則として禁止

【不当な返品事例】
展示に用いたために汚損した商品を返品すること
小売用の値札が貼られており、商品を傷めることなくはがすことが困難な商品を返品すること。
大規模小売業者がメーカーの定めた賞味期限とは別に独自にこれより短い販売期限を定め、この販売期限が経過したことを理由として返品すること
大規模小売業者のプライベート・ブランド商品を返品すること
月末又は期末の在庫調整のために返品すること
セール終了後に売れ残ったことを理由に返品すること
大規模小売業者の独自の判断に基づく店舗又は売場の改装や棚替えを理由に返品すること
購入客から大規模小売業者に返品されたことを理由に返品すること

2 不当な値引き(告示第2項)

 商品購入後に納入価格の値引きをさせることを原則として禁止

【不当な値引き事例】
セールで値引販売したことを理由に、値引販売した額に相当する額を納入業者に値引きさせること
在庫商品について、従来の店頭表示価格から値引販売しているところ、当該値引販売に伴う利益の減少に対処するために必要な額を納入業者に値引きさせること
毎月、一定の利益率を確保するため、当該利益率の確保に必要な金額を計算して、それに相当する額を納入業者に値引きさせること

<参考>
大規模小売業告示の適用対象となる大規模小売業者とは…
 一般消費者により日常使用される商品の小売業者で、次の①又は②のいずれかに該当するもの
①前事業年度の売上高が100億円以上の者
②次のいずれかの店舗を有する者
・東京都特別区及び政令指定都市においては店舗面積が3,000m2以上
・その他の市町村においては店舗面積が1,500m2以上

【相談窓口】
 ・公正取引委員会事務総局 経済取引局取引部企業取引課(Tel.03-3581-3373)
 ・東北事務所総務課(Tel.022-225-7095)



Copyright 2005 秋田県中小企業団体中央会 http://www.chuokai-akita.or.jp/