平成17年度版 中小企業組合白書のポイント
〜産学官との連携による事業展開〜 |
全国中小企業団体中央会では、全国の中小企業組合の動向と活動事例を紹介するため、組合関係各種資料を取りまとめた「中小企業組合白書」を編纂しております。本年度版では、産学官との連携による事業展開について解説するとともに、中小企業新事業活動促進法を活用し新連携に取り組む組合など先進的な事例を数多く紹介した内容となっております。次にそのポイントについてお知らせ致します。
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I 産学官との連携による事業展開
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1 中小企業組合の産学官連携の意義
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産学連携は、共同研究、受託研究、TLOなどを通じる研究成果の移転、技術指導などの企業支援、人材育成などの形で行われる。「官」は、そのような産学連携を促進する役割をもっている。産学連携の成果は、大学等にとっては研究開発・人材育成機能の一層の強化という形で、産業にとっては産業の一層の活性化という形で還元される。
中小企業組合が行う産学官連携は、産業の側が中小企業で構成された組合であることに特徴がある。 産学連携は個々の中小企業と大学等との間でも行われているが、数多い中小企業が個別に大学等と連携するのは物理的に困難であり、また個別企業との連携では業種等に共通する課題を解決するには不十分である。個別企業の立場からも、業種全体の立場からも、中小企業組合を核として産学連携に取り組むことが、連携の円滑な実施にとって極めて有効であり、効率的・効果的であるということができる。 |
図表1 中小企業組合の産学官連携
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II 最近の中小企業組合等連携組織の動向
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1 中小企業組合の概況
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(1) 全体の動向
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中小企業組合の平成17年3月末現在の数は、47,987組合(中小企業庁・金融庁・厚生労働省調べ)である。このうち、事業協同組合が38,520で最も多く、次いで、商店街振興組合2,617、企業組合2,368、商工組合1,475、協業組合1,209となっている。平成12年度以降企業組合の数が増加しているのが目立つ。
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(2) 組合設立の動向
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中小企業組合は、昭和50年代には年間で1,000を超える新規設立があったが、60年代以降は大よそ年間800〜900台で推移している(但し、平成4年1,003、7年792)。
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図表2 組合種類別新設組合数の推移
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(3) 解散組合の動向
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組合の解散は、昭和59年度から63年度まで600組合を超えていたが、平成元年度から6年度にかけて500組合台に減少した。しかし、長期にわたる不況と構造変化の影響から、平成7年度以降再び増加に転じ、11年度以降は800組合台の解散が続き、14年度には1,138組合が解散するに至った。15年度は831組合に減少したが、16年度は973組合で再び増加した。
16年度の解散組合を、組合種類別にみると、事業協同組合が837組合と全体の86%を占めている。以下、企業組合53、協業組合30、商工組合22、協同組合連合会13となっている。 |
2 組合から会社への組織変更
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平成11年の「中小企業団体の組織に関する法律」の改正により、事業協同組合、企業組合、協業組合については、株式会社又は有限会社への組織変更が可能となった。
法施行から平成17年3月末までの間に、会社に組織変更したのは211組合である。内訳は図表3のとおり。 |
図表3 組合から会社への組織変更の状況
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III 新連携の取組み等 〜中小企業新事業活動促進法の活用〜
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1 中小企業新事業活動促進法の概要
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(1) 法律の目的、特徴
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経営資源の不足する中小企業が、個々の企業が有する優位性を「連携」することにより、変化の激しい市場ニーズに即応できる体制を整備することが不可欠となってきており、この「連携」を支援するため中小企業創造法、新事業創出促進法及び中小企業経営革新支援法の3法を統合し、「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(以下、「中小企業新事業活動促進法」という)」が平成17年4月に施行された。この法律は、[1]創業、[2]経営革新、[3]新連携を3つの柱として、中小企業の新たな事業活動を支援するとともに、[4]これらの新たな事業活動の促進に資する事業環境基盤の充実を図ることを目的としている。「市場を目指して新たな事業活動に挑む中小企業」を力強くサポートしていく支援法である。
法律の大きな特徴は次の2つである。 1. 「創業」「経営革新」等に関する従来からの施策を整理・統合し、使いやすさ、分かりやすさを追求したこと。
2. 昨今の経済社会環境の変化を踏まえ、新たな動きである「新連携」に対する支援を追加し、施策体系全体を骨太化したこと。
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(2) 新連携
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「新連携」(中小企業新事業活動促進法では、「異分野連携新事業分野開拓」という。)とは、その行う事業の分野を異にする事業者が有機的に連携し、その経営資源を有効に組み合わせて、新事業活動を行うことにより、新たな事業分野の開拓を図ることをいう。
新事業活動を行う中小企業の連携体が異分野連携新事業分野開拓計画(新連携計画)を作成し、経済産業局等の認定を受けると、融資や補助金、設備投資減税等、様々な支援措置が受けられる。 |
(3) 経営革新
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「中小企業新事業活動促進法」における「経営革新」とは、「新たな取り組みによる経営の向上」を図ることである。
「経営革新計画」とは、事業活動に関連した「新たな取り組み」により、経営の相当程度の向上を図ろうとする計画であり、「新たな取り組み」とは、[1]新商品の開発や生産、②商品の新たな生産や販売方法の導入、[2]新サービスの開発や提供、[3]サービスの新たな提供方法の導入その他の新たな事業活動のことである。 経営革新計画の承認を受けると、その計画達成の支援として、支援機関による別途審査はあるものの補助金、税制、信用保証、融資等を受けることができる。 なお、支援対象は、全業種にわたる中小企業又は組合等である。 |
(4) 創業
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創業の活性化・多種多様な企業の誕生は、我が国経済の活性化に不可欠である。中央会は、特に企業組合の設立等を通じて創業活動を支援している。
支援対象となる創業者は、[1]これから事業を開始しようとする個人、[2]事業を開始してから5年未満の個人、[3]設立後5年未満の会社、[4]分社化して新会社を設立する予定の会社等である。 資本金1円から会社の設立が可能となる最低資本金規制の特例や、設備投資減税や留保金課税の停止等の課税の特例や、金融機関から融資を受けるときに信用保証が受けられる。 |
◆平成17年度版「中小企業組合白書」◆
体裁:A4版70頁 定価:1,200円(消費税込、送料別) 【お申し込み・お問い合わせ】 本会調査広報課(Tel.018-863-8701) |
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