2006年版 中小企業白書のポイント<その2>
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<第3部>テーマ分析(2)
少子高齢化・人口減少社会における中小企業 |
1.「世代交代の2つの波」と中小企業の事業承継・技能承継
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【事業承継】
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○経営者の平均年齢は2004年時点で58.5歳。
○55歳以上の経営者が引退したいと考えている年齢の平均は65.1歳。 →高度成長期に大量に創業した世代が現在一斉に引退時期に。 |
図3-1 55歳以上の経営者の事業承継に対する検討内容
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○年間廃業者29万社(2001〜2004年平均)のうち少なくとも約25%の企業は「後継者がいない」ことが理由。
→事業承継を理由として、毎年7万社の企業が廃業。それにより失われる雇用は20〜35万人 |
図3-2 自分の代で廃業を検討する理由
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○子息・従業員に後継者がいないときは、事業売却(M&A等)も有力な選択肢。しかし、企業においては、事業売却が自社で可能だと考えている企業は少ない。
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図3-3 事業売却に心理的抵抗を感じる理由
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【技能承継】
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○高齢層になるほど、従業員規模が小さい企業で働いている。中小企業では、製造業に高齢層の割合が高い。
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図3-4 従業員規模別就業者割合
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○技能承継のために社内で行っている取組は、①高齢者の再雇用、②承継を意識した人材配置、③IT化・マニュアル化、の3つが中心。
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図3-5 団塊世代の技能承継について企業が工夫していること
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2.「子どもを産み育てやすい社会」に向けた中小企業の役割
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○非正社員と正社員では年収に大きな格差が生じており、非正社員は結婚し、子どもを産み育てることが経済的に困難な状況。
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図3-6 非正社員と正社員の年収比較
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○25〜34歳の女性無業者のうち結婚・育児を理由として退職する者が約6割おり、仕事と育児を両立しにくい状況。
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図3-7 結婚・育児のために退職した25〜34歳の女性無業者の就業意思の有無
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【安定した雇用・収入の確保】
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○一般に、フリーターにはマイナスイメージが強いが、実際に正社員として採用した中小企業に聞くと、新規学卒者から採用した正社員とフリーターから採用した正社員の間には、ほとんど差はない。「フリーター」ということで偏見を持たず、やる気と能力を評価することが重要。
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図3-8 フリーターと新卒者の間で正社員となったときに差があると感じるか
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【仕事と育児の両立】
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○女性正社員の1人当たり子ども数を見ると、中小企業になるほど多い。この理由は、従業員規模が小さい企業ほど、女性正社員の中で乳幼児期を過ぎた子どもを育てている世代(40歳代以上)の比率が高いため。
○中小企業の方が、女性従業員が「働かざるを得ないために働いている」割合が多いという傾向は確認できず、むしろ、従業員規模に関係なく、女性の過半数は働き続けたいと希望して働いている。 |
図3-9 勤務先従業員規模別の理想のライフコース
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3.まちのにぎわい創出、新たな地域コミュニティの構築と中小企業
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【中心市街地の動向】
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○中心市街地の空洞化が進んでいる。人口も減少傾向にあるが、人口の減少ペース以上に売上額の減少、郊外への流出が見られる。
○「まちのにぎわい」回復のためには、商業施設だけでなく、公共施設も含めた集客機能(都市機能)の市街地への集約が重要。だが、公共施設の郊外立地傾向はまだ続いている。 |
図3-10 市役所、市立図書館、市立文化施設の立地状況と中心市街地の活性化状況
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○中心市街地に大型店が新規参入してくると、その集客効果で周辺の中小小売店の売り上げも増加することが明らかになった。すなわち、中心市街地において大型店と中小小売店は共通の利害を持ちつつある。
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図3-11 大規模店舗の参入による中小小売店舗の売上高変化の関係
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【関係者の連携】
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○活性化している自治体は、まちづくりについて庁内各部局(産業振興、都市計画など)で日常的な連絡、情報交換の仕組みを持っている。また、市民の意見把握の仕組みも充実。
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図3-12 一般市民や来街者の意見の把握方法
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まとめ —社会経済の長期トレンド逆転と中小企業—
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■「攻めの経営」に転じる端緒を掴みつつある中小企業
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依然として地域や業種に景気回復のばらつきがあるものの、総じて見れば、中小企業においても債務、設備、雇用のいわゆる「3つの過剰」の桎梏をようやく克服しつつあり、「攻めの経営」に転じる端緒をつかみつつある。
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■日本社会が置かれている構造的な変化①(国外)
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◇海外との市場競合を意識した経営
東アジア周辺諸国は歴史的な勃興期を迎えつつあり、一般に海外との接点をあまり持たない国内の中小企業であっても、海外との市場競合を意識した経営をせざるを得ない環境に置かれつつある。 |
■日本社会が置かれている構造的な変化②(国内)
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◇人口トレンドの逆転と中小企業の役割
・かつての高度成長期、若き創業者であった経営者たちが引退期を迎えている今、事業承継の問題は対策が後手に回りがちなことが明らかになった。その中で、M&Aといった方法で円滑な第三者承継を成功させている中小企業も見られる。 ・「子どもを産み育てやすい社会」の実現には、中小企業の役割は重要と思われる。仕事と育児の両立において、中小企業の「現場における柔軟な対応」は大きな効果を発揮していることが分かった。 ・「コンパクトなまちづくり」などは、人口トレンドの逆転に伴い、発想の逆転が求められる典型例である。地域の人口も税収も減少し、かつ、地域のコミュニティが希薄化する中にあっては、まちとしての「選択と集中」を決断できるだけの、各関係者の協力体制と総合的なマネジメントがより一層重要性を増している。 |
【お問い合わせ】
中小企業庁事業環境部調査室 Tel.03-3501-1511 ※詳細は次の中小企業庁のホームページをご覧下さい。 http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/060428hakusyo.html |
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