平成18年度版 中小企業組合白書のポイント
〜多様な連携による新たな事業への挑戦〜 |
全国中小企業団体中央会では、現下の我が国中小企業組合の全体像と今後の方向を明かにすべく、様々な視点から中小企業組合を解明するとともに、組合の活動事例や最新の組合関係情報を資料として取りまとめた平成18年度版「中小企業組合白書」を編纂しました。その中から最近の中小企業組合等の動向の概要について次にお知らせ致します。
|
最近の中小企業組合等連携組織の動向
|
I 中小企業組合の概況
|
1 全体の動向
|
中小企業組合の平成18年3月末現在の数は、47,582組合(中小企業庁・厚生労働省調べ)である。このうち、事業協同組合が38,080で最も多く、次いで、商店街振興組合2,613、企業組合2,469、商工組合1,445、協業組合1,191となっている。他の組合の数が減少あるいは停滞する中で、平成12年度以降企業組合の数が増加しているのが目立つ。
|
2 組合の種類別にみた動向
|
(1) 事業協同組合
|
事業協同組合は、組合員の事業に関する共同事業であれば、様々な事業を実施できる。組合数は、平成17年度末で38,080組合を数え、組合全体の約80%を占めている。毎年全国で600〜700前後の組合が新たに設立されているが、近年の設立の傾向をみると、製造業の組合の比重が横ばい、卸・小売業の組合の比重が低下し、サービス業、その他の業種や異業種の組合の比重が大きくなっている。
|
(2) 企業組合
|
企業組合は個人が組合に資本と労働力を投入し、組合自体が一つの企業体となって事業活動を行い、組合員は組合の事業に従事するという特色を持つ制度である。小規模な事業者が経営規模の適正化を図る場合や個人が自らの働く場を確保するのに適していることから、昭和20年代後半から30年代前半にかけて10,000組合を超えたこともあったが、事業不振や次世代への事業継承が円滑に行われずに休眠状態になる組合も多く、平成11年度には2,000組合を割るに至った。しかし、設立に際して最低資本金の制約がないことから、法人格をもつ組織として主婦や高齢者、定年後のサラリーマン等が事業を起こすのに適していること。また、創業促進が政策課題となる中で、創業のための組織としての機能が再評価されたことから、設立数も13年度81組合、14年度117組合、15年度167組合、16年度187組合、17年度166組合と、17年度はやや減少したものの設立数は増加傾向にある。
|
(3) 協業組合
|
協業組合は、中小企業者が事業の全部又は一部を組合に統合することにより、事業規模を適正化して生産性の向上等を図ることを目的とする組合である。昭和42年の制度創設後、構造改善政策の中で、特定業種における企業集約化の担い手として位置づけられたこともあり、58年度には1,573組合に達した。しかし、60年以降の設立は年間10組合前後、あるいはそれを下回り、事業不振等で解散する組合も多いことから、現在は1,191組合に減少している。
|
(4) 商工組合
|
商工組合は、制度創設当初は、調整事業による過度の競争の防止を目的としていたが、現在では業種全体の改善発達を図ることを主目的とするいわば同業組合的性格の組合となっており、出資組合と非出資組合がある。実施事業は、指導教育、調査研究、情報収集など当該業種に係る指導調査事業のほか、出資組合では事業協同組合と同様の共同経済事業を実施することができる。近年の設立は少なく、平成2年以降の新設数は年間1〜2組合程度である。業種全体の不振や役割を終えて解散する組合も増え、現在1,445組合となっている。
|
(5) 商店街振興組合
|
商店街振興組合は、現在2,613組合と119連合会が設立されている。昭和37年に制度が創設されたが、翌38年には364組合が設立され、46年には1,000組合を超えるに至った。昭和50年代以降も、大型店進出への対応、商店街活性化への要請等から活発な設立がみられ、59年には2,000組合を超えた。しかし、大型店の郊外展開と中心市街地の空洞化の影響もあって、新規設立は平成4年度の97組合をピークに減少に転じ、近年は年間10組合を切るに至っている。
|
図表1 中小企業組合数の推移
※資料出所:中小企業庁、厚生労働省調べ
|
3 組合設立の動向
|
中小企業組合は、昭和50年代には年間で1,000組合を超える新規設立があった。60年代及び平成元年度以降は年間800〜900組合台で推移(平成4年度は1,003組合)している。10年度に792組合と800組合を割ったが、11年度からは再び800組合台で推移し、17年度は806組合となっている。
新設組合を組合の種類別にみると、平成13年度まで、事業協同組合が9割近くを占めていた。近年は、企業組合の設立が多くなり、12年度、13年度には新設組合の1割近くを占め、15年度からは2割台となり、17年度は20.6%を占めるに至っている。 17年度の新設事業協同組合(連合会を含む)を業種別にみると、「異業種」が146組合で最も多く、「製造業」131組合、「建設業」130組合、「サービス業」86組合が続いている。 新設組合の業種別の構成を昭和55年度と比較すると、「卸売業」「小売業」の割合が低下し、「サービス業」と「異業種」の割合が増大している。サービス経済化など、産業構造の変化を反映したものとなっている。(平成18年10月:全国中央会「中小企業組合設立動向調査」) |
図表2 組合種類別新設組合数の推移
※資料出所:全国中央会中小企業組合設立動向調査(平成18年10月)
|
4 解散の動向
|
組合の解散は、昭和59年度から63年度まで600組合を超えていたが、平成元年度から6年度にかけて500組合台に減少した。しかし、長期にわたる不況と構造変化の影響から、平成7年度以降再び増加に転じ、11年度以降は800組合台の解散が続き、14年度には1,138組合が解散するに至った。15年度、16年度は1,000組合を下回ったが、17年度は、1,060組合で、再び1,000組合を上回る解散数となった。
16年度の解散組合を、組合種類別にみると、事業協同組合が926と全体の87%を占めている。以下、企業組合57、協業組合22、商工組合30、協同組合連合会11、商店街振興組合11となっている。業種別では製造業の281組合(衣服・その他の繊維製品、木材・木製品、窯業・土石製品、食料品、繊維工業、製造業内異業種など)が最も多く、小売業238組合、建設業132組合、異業種111組合、サービス業110組合が続いている。(平成18年10月:全国中央会「中小企業組合設立動向調査」) |
II 組合から会社への組織変更
|
平成11年の「中小企業団体の組織に関する法律」の改正により、事業協同組合、企業組合、協業組合については、株式会社又は有限会社への組織変更が可能となった。
法施行から18年3月末までの間に、会社に組織変更したのは239組合である。内訳は、事業協同組合からの組織変更117、協業組合からの組織変更91、企業組合からの組織変更31である。業種でみると、製造業85、建設業17、卸売業15、小売業47、サービス業48、その他27となっている。(平成18年10月:全国中央会「中小企業組合設立動向調査」) |
図表3 組合から会社への組織変更の状況
※資料出所:全国中央会中小企業組合設立動向調査(平成18年10月)
|
III 新連携の動向
|
平成17年4月13日に「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律(中小企業新事業活動促進法)」が施行され、従来からの創業支援、経営革新支援に「異分野連携新事業分野開拓」いわゆる「新連携」を新たに加えた中小企業支援策がスタートした。新連携は、8月末までに全国で224件の事業計画が認定を受けている。
認定されたコア企業の6割強が組合に加入しており、各中央会による取り組みは、組合組織を活用した、しっかりとした信頼関係のもとに、創意工夫溢れる連携を構築している。 |
図表4 各地域の新連携計画の認定状況
※資料出所:中小企業庁調べ(平成18年8月現在)
|
IV LLP、LLCの動向
|
1 LLPの動向
|
LLP(Limited Liability Partnership)は、平成17年8月1日、「有限責任事業組合契約に関する法律」によって制度化された新たな事業体である。(1)構成員全員が有限責任で、(2)損益や権限の配分が自由に決めることができるなど内部自治が徹底し、(3)構成員課税の適用を受けるという3つの特徴を兼ね備えている。
LLPは、大企業と中小企業、産学連携、専門人材同士などの様々な共同事業が促されると見込まれることから、大部分の中央会が次のLLCとともにその設立・運営を支援している。 |
2 LLCの動向
|
LLC(Limited Liability Campany合同会社)は、平成18年5月1日から施行された会社法により新たに誕生した人的会社である。LLCは、(1)法人格を持ち、(2)有限責任、(3)内部自治原則が特徴である。
京都府下の商店街振興組合、料理飲料組合連合会、織物小売協同組合、旅館生活衛生同業組合等異なった種類の組合等が大同団結し、LLCを設立し、JR関西、阪急電鉄、京阪電車に乗車できる共通ICカードを発行している。乗車及び参加加盟店でカードを利用すると運賃相当額がキャッシュバックされるキャンペーンを実施した。 |
|
|
Copyright 2006 秋田県中小企業団体中央会 http://www.chuokai-akita.jp/
|