「業種別会議」を開催!
〜各業界が抱える課題等について意見を交換〜


「食料品・その他製造業」の会議の様子
 
 各業界の関係者が一堂に会して、現在抱えている課題や要望などについて幅広く意見交換を行うことを目的とした業種別会議を、秋田市のホテルメトロポリタン秋田において、2月13日(火)の繊維製品製造業を皮切りに、3月13日(火)の食料品・その他製造業まで7つの業種に亘り開催した。合計7回の会議には、全県から会員組合の代表者ら延べ約200名が参加し、各業界が抱える課題や国、県等の行政、そして中央会に対する要望などについて議論した。
 各会議で出された主な内容の概略を紹介します。

繊維製品製造業 (2月13日開催)
(1) 今後のビジョンを持たない企業は生き残れない。現在、組合では、5年後、10年後のビジョンについて検討を行っている。
(2) 生産性を向上させる工夫、研究も業界の重要課題である。
(3) 外国人研修生受入事業では、管轄する入管の許可基準に差があるため社会保険・厚生年金の加入率が東高西低となっている。中央会からも同一基準で運用するよう国等へ働きかけてほしい。
(4) 最低賃金が上がることによる影響は大きいので、簡単に上げないでもらいたい。また、きめ細かい業種別の最低賃金の設定も検討してほしい。
(5) 30〜40代の人材を補充したいが、応募者がない状況である。いかに若年者を雇用するかが大きな悩みである。


卸・小売業 (2月15日開催)
(1) 供託金額(商品券)が厳しすぎるので、事業規模に見合った金額となるよう要望する。また、供託金を担保にできる等の優遇策が欲しい。
(2) まちづくりについて、行政には将来を見据えた構想を作成して頂きたい。
(3) 大型店の販売価格に対抗するためには、地域的な集まりでは規模が小さすぎるので全国的な連携が必要であり、中央会の力を借りたい。
(4) 平成22年度を年次目標とする卸売市場基本方針によって、秋田市の中央卸売市場が無くなることがあれば、業界や市民に与える影響は大きい。国の施策に地方の事情は勘案されておらず、それを補うため、県等が窓口になることを期待する。
(5) 顧客の世代交代や後継者難など小売業界を取り巻く環境変化は著しい。駅前周辺の賑わいを取り戻すためには、公営駐車場の確保や集客力を高めるための買い物動線づくりが必要である。
(6) 商品券、ポイントカード事業を全県規模で展開したいので、助成制度を拡充してほしい。
(7) うまく機能していないTMOが多い。既存の商店街組合や連合会等が補助金を受けられるようにすべきである。

商店街 (2月19日開催)
(1) まちづくり三法と言いつつ大型店の郊外出店を認めるなど、行政の方針には矛盾がある。商店街としてもただ反対するだけではなく、理論武装をして、行政と向き合っていくことが大事。
(2) 中心市街地活性化が叫ばれているが、県等の助成金は削減方向にあるのが現状。中央会からも助成金増額について強力に要望して欲しい。
(3) 商人だけのまちづくりは無理。コンパクトシティ化については、市町村行政や住民の協力なしでは達成できない。中央会には、是非行政の参画を進言して欲しい。
(4) 駐車場があれば中心市街地は活気を呼び戻せるが、駐車場をつくっても固定資産税が増える。減免措置をお願いしたい。
(5) ヤートセ祭りや音楽フェスティバルを開催する際、警察にはもう少し柔軟に各種許可を出して欲しい。
(6) 商店街(個店)の事務に関する補助金があれば良い。

運輸・サービス業 (2月22日開催)
(1) 独自の品質保証基準を定め、選ばれる工場になるための努力をしている。今後も継続した中央会の支援を望む。 (自動車整備業)
(2) 規制緩和により農協等が葬祭業へ参入してきて競争が激しくなった。農協は、非組合員である一般消費者への勧誘が目立つが、農林水産省の通達により員外利用が制限されている。コンプライアンスの徹底を願う。
(3) 顧客満足度向上のため、従業員教育の重要性が高まっている。現在実施しているお客様の生の声を聴き、経営に生かす取り組みに対する中央会からの支援を望む。 (葬祭業)
(4) タクシーを通じて多様なサービスを提供できる企業になるための、経営革新に対する中央会の支援を望む。
(5) 建設業も許可業者として清掃業に参入してきており、行政が簡単に許可を出してしまうことが問題である。また、営業用(緑)ナンバーの取得については、国と市とで対応の差があり困惑している。
(6) 競争の激化により応札価格が下落している。適正価格の維持について行政に期待する。また、行政との様々な交渉に、中央会にも同行してもらい、組合の意義等について説明してほしい。(し尿処理業)

木材・木製品製造業 (3月6日開催)
(1) 外材が値上がりしている中で、国産材が値を戻している。中央会には、業界を盛り上げる施策をお願いしたい。
(2) 行政の対応が全て大企業を中心としたものになっているように見える。中央会には、もう少し中小企業へ目を向けるような行政とのパイプ役になって欲しい。
(3) 秋田県の木材の販路が拡大するよう、中央会には広報マンとしての役割を担って欲しい。
(4) 高性能機械導入時の補助金利用条件には、年間3,000m3の出荷という足かせがあり、導入促進へのネックとなっている。“数字ありき”ではなく、柔軟な対応をして欲しい。
(5) 九州地域と比較すると、秋田県の支援体制は弱いと感じる。もう少し行政が手伝ってくれればと思う。

建設業 (3月8日開催)
(1) 高い品質の確保がこれまで以上に求められている時代に、低価格の入札は考えにくい。ゼネコン、設計事務所、専門家、行政等関係者が集まり、適正な価格、積算基準等の在り方についての議論が必要。
(2) 次の世代に夢のある業界としてバトンタッチすためにも若手育成に力を入れたいが、県北には溶接工を育成する環境がない。人材育成のための施設の確保をお願いしたい。
(3) 入札については、誰でも参加できることが、ある意味で問題となっている。参加資格の色分けや、地域性を考慮した上で発注をしていただきたい。また、原価を下回るような工事は、地域の活性化につながらない。
(4) 行政担当者の「再生アスファルト」に対する理解を深めていただきたい。

食料品・その他製造業 (3月13日開催)
(1) 官公需について、最低価格制の導入を要望する。また、「安ければ良い」と版権を無視した発注も見られる。知的財産保護の観点からも適正な取引を求める。 (印刷)
(2) 駅前ゾーンの賑わいづくりに取り組んでいる。行政等には、大型店を含めた駅前各エリアの商業者の連携の音頭とりを期待している。 (市民市場)
(3) 必要な原料大豆を確保・購入するための制度資金が欲しい。 (豆腐)
(4) 「地産地消」については、言葉だけが先行している。それを推進している行政等には県産品の“セールスマン”として活動して欲しい。(牛乳、他)
(5) 「食育」という観点から、漬物のイメージ(塩分等)転換等の取組みが必要。栄養士等専門家を含めた懇談会の立ち上げ支援を中央会に要望する。(漬物)
(6) 商品の成分表示について、制度変更が多く、その対応に苦慮している。 (製麺)
(7) 酒造好適米について、秋田の酒の幅を広げ、付加価値を高める観点から、量が少なくても生産を継続できるよう支援を望む。 (酒造)
(8) 県に発足する食品業界支援の新チームのコンセプトを明確にして欲しい。 (製麺、他)
(9) 県外のアンテナショップの売れ筋等商品・消費者に関する情報を業界にフィードバックして欲しい。 (牛乳、他)
(10) 「秋田わか杉国体」を県産食品の紹介や販売促進の大きなビジネスチャンスと捉えており、行政との連携を密にして、中央会に窓口の一元化を図ってもらいたい。

今後の取組について
 今回、7業種に亘り開催した業種別会議では、本誌で紹介した以外にも、各業界に横たわるたくさんの問題・課題、また、それに対する要望などが出された。
 本会では、今後その内容一つ一つについて整理、吟味し、今後開催される、地区別代表者会議並びに専門委員会等の場において、その対応策を検討するとともに、県等の行政や各関係機関とともに、具体的な解決策を協議していくこととしている。



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