2007年版 中小企業白書のポイント part1
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中小企業庁が毎年発表している「中小企業白書」2007年版がこのたび公表されました。本白書では、第1部で「2006年度における中小企業の動向」として、日本経済全体の景況、地域間、企業規模間の景況感のばらつき、開業・廃業の動向、事業承継について、第2部では「地域と共に成長する中小企業」をテーマとし、地域資源活用の現状とポイント、中小小売業や商店街に対する期待、中小企業とメインバンクの関係についてを分析、第3部では長期安定的な取引関係や労働市場の変化に対し、中小企業に求められる取り組みについて記述されています。本誌では、3回にわたりその概要についてご紹介致します。なお、詳細は次の中小企業庁のホームページをご覧ください。(http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html)
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<第1部>2006年度における中小企業の動向
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今回の景気回復期間が戦後最長となる中、中小企業の景況については一服感が見られる。2006年度における中小企業の景気動向、開業・廃業の動向などを示している。
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I 中小企業の景気動向
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今回の景気回復が設備投資と輸出主導である点、有効求人倍率や景況感などにおける地域間のばらつきが目立つ点を踏まえた上で、回復の遅れる中小企業の景況を分析。
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1 日本経済全体の景況
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○今回の景気回復は輸出と設備投資に牽引されながら、日本経済を全体として見れば、緩やかに拡大。
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○好調な企業部門とは対照的に、家計部門に力強さが見られない。
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2 地域間のばらつき
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○地域の産業構造が景気回復と関連。機械関連業種が集積している地域では、有効求人倍率が改善。一方、例えば建設業や生活関連業種に依存している地域では改善が遅れる傾向。
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○民間設備投資と民間住宅投資で地域間におけるばらつきが高水準で推移。
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○公共投資の減少を民間投資で補っている中部などに対して、東北などでは公共投資の減少と民間投資の伸び悩みが見られる。
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3 中小企業の景況と企業規模間におけるばらつき
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○中小企業の業況感には一服感がみられ、中でも小規模企業における業況は厳しい。
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○中小企業の財務状況は改善傾向にあるものの、ゼロ金利解除を受けて、中小企業向け金利は上昇傾向。
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○輸出と設備投資が牽引する今回の景気回復において、中小企業は大企業に比して不利。
○原材料価格上昇や人件費の増大を転嫁できていないことが、規模別のばらつきの原因となっている可能性がある。
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II 開業・廃業の動向と小規模企業を取り巻く環境
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我が国における開業・廃業の動向をタイムリーかつ広範囲に把握するため、タウンページデータベースに基づく開業率・廃業率を算出。中小企業の事業承継がなかなか進まない背景も分析。更に、中小企業の中でも特に景況感が厳しく、廃業も多い小規模企業について分析。
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1 開廃業の動向
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○事業所の動向をタイムリーかつ広範囲に把握するため、タウンページデータベースに基づく開業率・廃業率を算出し、事業所・企業統計調査と比較。
○開業率が廃業率を下回る状況が続いており、事業所の減少には歯止めがかかっていない。
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○特に情報・通信や事業活動関連サービスにおいて、タウンページデータベースに基づく開業率・廃業率が高い。
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○成長性の高い分野、少ない資金で創業できる分野での開業が活発になっている。
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2 開業・廃業と雇用変動
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○開業が生み出す雇用は、存続企業が生み出す雇用よりも大きい。
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○サービス業や医療福祉、学習支援業など開業が盛んな分野で雇用も増加している。
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3 中小企業の事業承継
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○規模が小さくなるほど、社長交代が進まない傾向がある。
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○中小企業経営者の個人資産は株式等の事業用資産が大部分を占めており、その承継の際には、特に高収益の株式会社において相続税負担の問題が大きい。
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○承継する者に対しても個人保証や個人資産の担保提供を求めることが、中小企業の円滑な事業承継を阻害している可能性がある。
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4 小規模企業を取り巻く環境
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○小規模企業では、現状維持を志向する企業が多い。
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○建設業や卸売業、製造業の一部業種においては、小規模企業が健闘している。
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○拡大志向の小規模企業では、人材の確保・育成への関心が高い。
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<次号に続く>
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