2007年版 中小企業白書のポイント part2
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7月号に引き続き、中小企業白書のポイントとしてその概要について紹介しております。第2部では景況感や雇用における地域間のばらつきが指摘される中で、それを克服しようとする中小企業の動向について「地域」をキーワードに記述しています。なお、詳細は次の中小企業庁のホームページをご覧ください。(http://www.chusho.meti.go.jp/pamflet/hakusyo/index.html)
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<第2部>地域と共に成長する中小企業
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I 地域資源の有効活用にむけた取り組み
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地域に特有の経営資源として、特産品や伝統的に継承された製法、地場産業の集積による技術の蓄積、自然などが挙げられる。産地技術型(木製家具類など)、農林水産型(味噌製品類など)、観光型(温泉宿泊施設)が分析対象。
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○「農林水産型」では、中小企業の商品の方が、大企業の商品よりも高価格帯に存在。5年前との比較でも、大企業の商品が低価格帯商品の割合が増加しているのに対して、中小企業の商品の価格は大きく落ち込んではいない。
○市場において高価格帯で販売できている企業は、地域資源を認識している割合が高い。
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地域資源の活用に対する認識
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○地域資源を活用した商品やサービスの差別化 は、中小企業が利益をあげる上で重要。差別化のポイントを有する企業は増益傾向。
○他社との差別化のポイントとして、中小企業が挙げる地域資源は様々。「産地技術型」では存在する地域資源の強みが、まだ認識されていない。
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地域資源を活用した他社との差別化有無と、経常利益の関係
(過去5年間の比較) |
○付加価値が増加している企業では、自らの業務に関連した地域資源があると認識している場合が多い。
○製造業者において、地域資源は新商品の開発や商品のイメージの向上など様々に活用されている。
○「農林水産型」「観光型」では、地域資源を認識している企業の方が、地産地消にとどまる傾向が強い。域外への積極的進出が課題として残っている。
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地域資源の活用手法
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○連携が成立するきっかけとして、各種商談会や交流会、外部の人材や組織による仲介が高い割合を占めている。
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連携成立のきっかけ
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II 地域を支える中小小売業等、コミュニティビジネスの役割
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中小の小売・サービス・飲食業が、地域住民や、都市の魅力づくりや行政サービスの代替を求める自治体の期待を踏まえて、どのように活動しているかを分析。
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1 小売業における市場動向
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○小売業の販売額は、減少傾向が続いている。特に、売場面積の小さな小売業での落ち込みは大きい。
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売場面積500m3未満の販売額伸び率
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○業態別販売額で見ると、専門スーパーが伸びる一方、専門店の割合が減少。
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業態別小売業販売額の推移
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2 消費者から見た地域の中小小売業等への期待
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○品揃えに優位性のある大型店が選ばれている が、中小店もコンビニ等と同程度の支持あり。
○中小店が強みを持つ分野としては、サービス(理美容、クリーニング)や飲食、生鮮食品がある。
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品目別の最もよく利用する場所・業態
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○過去5年間に比して、今後は、「安心」「安全」といった要素が重視される傾向。
○宅配のほか、消費支出の多い高齢層を中心に、1人暮らしの見回り、配食等の付加サービスへの期待がある。
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有償サービスの期待
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3 自治体から見た地域の中小小売業等への期待
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○「公共的サービス」を民間せ担うことへの期待は大きいが、担い手不足が懸念される。
○地域の小売業等への期待が高い分野(地域活性化、福祉)もあるが、連携については、十分な体制が構築できていないのが現状。
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地域企業との連携を進める上での課題
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○地域小売事業者等への委託・連携は現状では少ないが、今後の期待は高い。数はまだ少ないが成功事例が存在。
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地域の小売・サービス事業者との連携状況と期待
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4 地域を支える中小小売業等の取り組み
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○全国的に小売業の販売が減少する中で、販売額の減少幅が小さい、もしくは、活力を維持している商店街がある。これらの商店街の特徴を4つのパターンに区分する。
○幅広い地域・年齢層向けの「広域拠点型」、若者向けの「新興集積型」、遠くからも集客する「テーマ型」、高齢者が中心の「生活密着型」。
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主な顧客の居住地
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○今後の事業展開を聞くと、顧客層に応じた展開を積極的に行おうとする姿勢がある。新興集積型ではネット・通販を既に2割の店舗が導入。
○一方、人材面、資金面、収益の見込みがないこと等が課題。
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今後の事業展開で考えているサービス・事業・品揃え
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○新興集積型では、新規出店者が一番多く、活力を維持している。
○生活密着型は、安定的なビジネスを続けていると考えられる。
○立地理由としては「人通りの多さ」や「周辺店舗等との相乗効果への期待」が多く挙げられているが、新興集積型では「物件の条件」が上位にあり、新規出店が促される。
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現在地に出店を決めた理由
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III 地域金融と中小企業の資金調達
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改善傾向にあった中小企業の資金調達環境を踏まえ、中小企業と金融機関の関係がどのように変化したかを分析。
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1 中小企業の資金調達とメインバンク
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○借入申込みに対するメインバンク側の反応は改善傾向。地域間のばらつきも改善傾向。
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思いどおりに借りられなかった企業の割合(地域別)
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2 小規模企業におけるメインバンクとの関係
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○小規模企業では、メインバンク担当者との接触頻度、満足度が共に低い。
○過去と比較しても、小規模企業ではメインバンクとの接触頻度の低下が著しい。
○このため、メインバンクとの取引満足度もあまり改善していない。
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10年前と比較したメインバンク担当者との接触頻度
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○メインバンクとの取引満足度の低い小規模企業では、最近10年間でメインバンクを変更している割合が高い。
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メインバンクの変更理由(従業員規模別)
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3 複数の金融機関との取引
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○我が国中小企業は、複数の金融機関との取引が主流という特徴がある。
○複数行取引を行うと、調達しやすくなるが借入依存度も高くなる。
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取引金融機関数と借入依存度の相関関係
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○複数行取引の企業は、中小企業再生支援協議会を利用する際に、金融機関から厳しい融資対応を受けることが契機となる場合が多い。
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協議会利用のきっかけ
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4 円滑な資金調達に向けた取り組み
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○ABL等の従来にはない借入手法も開発されており、借入手法の多様化が進展。
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ABLの利用度合い
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○創業前後は資金調達が大きな課題。現状では、自己資本を取り崩すケースが多い。充実しつつある地域金融機関の創業支援及び公的支援が資金繰りに貢献。
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創業後間もない段階での資金繰り
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○主要株主は代表者やその親族等であり、現状ではベンチャーキャピタル出資は少ない。円滑な資金供給を促す上でも、中小企業の決算内容は信頼性を高めることが必要。
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「中小企業の会計」の利用状況
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