平成19年度 中小企業労働事情実態調査結果
〜集計速報版より〜
〜景況感はやや下降気味〜
 本会では、毎年7月1日を調査時点として全国統一様式により郵送調査を実施しております。本年も県内の回答のあった事業所を独自で集計・分析を行い、速報版としてとりまとめました。本県では、800事業所(製造業450、非製造業350)を対象とし、432事業所から回答(回答率54.0%)がありました。
 詳細な調査結果については、全国のデータが出揃う12月の初めに報告書として発行を予定しておりますが、今回は速報版として主要項目をピックアップして掲載します。

1 調査対象年月日
平成19年7月1日
2 調査対象事業所
800事業所
3 回答事業所数
432事業所
4 回答率
54.0%

I 経営状況
 厳しい経営環境の中で、県内の中小企業の経営状況を見ると、「悪い」が45.4%と多かったのに対し「良い」は9.3%となっている。昨年度調査との比較では、「良い」が2.3ポイント減少し、「悪い」が1.4ポイント増加していることから、総じて県内中小企業の経営状況はやや下降気味の状況となっていることが窺える。
図−1 経営状況

II 経営上の隘路
 経営上の隘路を3項目以内で選択してもらったものであるが、この結果、「販売不振・受注の減少」が54.9%と最も多く10年連続で1位となっている。
 次いで、「同業他社との競争激化」が40.7%、「原材料・仕入品の高騰」が38.4%となっている。上位3項目は前年度と変わらないが、僅差ながら昨年度は3位だった「同業他社との競争激化」が2位に、また2位だった「原材料・仕入品の高騰」が3位に後退した。
図−2 経営上の隘路

III 経営上の強みについて
 経営上の強みを3項目以内で選択してもらったものであるが、この結果、「顧客への納品・サービスの速さ」が31.9%と最も多く、次いで、「製品の品質・精度の高さ」が26.2%、「組織の機動力・柔軟性」が19.2%と続いており、この3項目の順位は昨年度と変わりはないが、「製品の品質・精度の高さ」がやや増加し、「組織の機動力・柔軟性」が減少していることが目に付く。
図−3 経営上の強み

IV 従業員の労働時間について
 週所定労働時間については、「40時間」が45.4%、「38時間超40時間未満」が36.1%、「38時間以下」が11.3%となっており、「40時間以下」の事業所が92.8%と昨年度(92.4%)より若干増加している。
図−4 従業員の労働時間

V 従業員の過不足状況について

 従業員の過不足状況をみると、「職種・部門によって不足している」が18.8%、「全体に不足している」が3.7%となっており、この2つの回答を合わせると「不足している」が22.5%を占めることになる。それに対して、「職種・部門によって過剰である」が12.0%、「全体に過剰である」が4.6%と、この2つの回答で「過剰である」は16.6%を占めることとなり、「不足している」とする回答が「過剰である」とする回答を5.9%上回り、従業員についてはやや不足気味の傾向にある。
図−5 従業員の過不足状況

VI 技術・技能・知識・経験の承継について

(1) 技術・技能・知識・経験の承継の進捗状況
 団塊世代の大量退職によって、技術水準の低下や技能・知識・経験の承継を危惧する声があるが、技術・技能・知識・経験の承継についてみると、「部分的には承継されているがまだ不十分」が45.4%、次いで「承継する必要がない」27.1%、「十分承継されている」が21.8%と続いている。一方「ほとんど承継されていない」はわずかに5.8%にとどまっているのが特徴的である。
図−6 技術・技能・知識・経験の承継の進捗状況

(2) 技術・技能・知識・経験の承継のための対策の有無
 技術・技能・知識・経験の承継のための対策を講じているかどうかをみると、「講じている」が57.4%であるのに対し、「講じていない」は42.6%となっており、「講じている」が「講じていない」を14.8ポイント上回っている。
図−7 技術・技能・知識・経験の承継のための対策の有無

(3) 技術・技能・知識・経験の承継のために講じている対策
 講じている対策についてみると、「現場での実践指導」が79.4%と圧倒的に多く、次いで「技能検定などの資格取得の奨励」が36.7%、「社内の教育訓練や研修」が36.7%、「技術・技能のマニュアル化」が25.4%となっている。
図−8 技術・技能・知識・経験の承継のために講じている対策

VII 最低賃金引き上げの影響について

 最低賃金が引き上げられた場合の経営上のマイナスの影響についてみると、「ほとんどない」が47.9%、「全くない」が15.5%と「影響がない」とする回答はこの2つで63.4%を占め過半数に達しているのに対し、「多少ある」が19.7%、「大いにある」が9.7%を示しており、「影響がない」とする回答はこの2つで29.4%と3割弱を占めている。
図−9 最低賃金引き上げの影響

VIII 新規学卒者の採用計画について
 平成20年3月学卒者の採用計画については、「ある」とする事業所が432事業所のうち59事業所(13.7%)と前年度に比べ6事業所、率にして1.4ポイントの増加となっており、若干明るさが窺える。
表−1 新規学卒者の採用計画
区分
平成19年度
平成18年度
平成17年度
平成16年度
事業所数
比率
事業所数
比率
事業所数
比率
事業所数
比率
ある
59
13.7
53
12.3
47
11.7
46
10.0
ない
289
66.9
285
66.3
280
69.7
331
72.3
未定
84
19.4
92
21.4
75
18.7
70
15.3
N.A
11
2.4
 しかし、採用計画のある59事業所の採用予定者数を見ると、全体では156人となっており、昨年度より8人少なくなっており、1事業所あたりの採用予定者数はやや減少という結果となっている。
表−2 新規学卒者の採用予定者数
区分
平成19年度
平成18年度
平成17年度
事業所数
採用予定者数
事業所数
採用予定者数
事業所数
採用予定者数
高校卒
41
94
35
100
31
82
専門卒
10
15
12
16
5
6
短大卒
8
11
7
10
4
7
大学卒
20
36
22
38
16
27
合 計
79
156
76
164
56
122

IX 賃金改定状況について
 本年1月から7月1日(調査時点)までの賃金の改定状況を見ると、賃金を「引き上げた」事業所が33.3%で昨年度の28.1%に比べ5.2ポイント増加している。
一方、「引き下げた」事業所は2.1%で昨年度(2.8%)に比べ、0.7ポイント率が下がっている。また調査時点で「未定」としているところが、昨年の57.2%から52.1%と5.1ポイント減っている。
図−10 賃金改定状況



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