日本列島組合探険隊
地場産業組合
伝統工芸品の用途開発への挑戦
〜雄勝硯生産販売協同組合(宮城県)〜
◆背景と目的
 昔ながらの手づくり製法により、工人の腕一つで丹念に彫りあげられる雄勝硯は、600年を超える伝統と技が生きる名硯である。硯の全国生産高では約90%を占めており、宮城県のみならず、わが国が誇る伝統工芸品のひとつといえるが、ブランドや知名度の浸透度が弱く、他の産地に一歩も二歩も遅れをとっていた。そこで国や県等の補助を受け、新製品、新デザイン開発等に取り組むと同時に、大都市圏において展示即売会や実演等を積極的に行い、産地ブランドの確立と地域活性化に取り組んだ。
◆事業・活動の内容
 地域資源等活用型企業化事業(経済産業省)、後継者育成事業(宮城県)の補助を受け、また、宮城県産業技術センターから商品開発のアドバイスを受けるなど、新製品、新デザイン開発等に取り組んできた。こうした活動の結果、雄勝カラーストーンなどの新商品を開発した。さらに、行政との連携により「伝統工芸品フェア」の開催や「雄勝硯伝統産業会館」における硯販売や硯彫体験など、積極的な活動を展開している。
◆成果
 産地ブランドの確立はこれからであるが、他の地場産品・伝統工芸品との積極的な連携を行ったこと、用途開発を積極的に行ったことが成功要因としてあげられる。こうした活動を通し、各組合員の意識も少しずつ変化しており、職人気質だけではなく、売れる商品を作るにはどうすべきか、という視点を持つようになってきている。


【組合の概要】
所在地:石巻市雄勝町字寺53-1
電 話:0225-57-2632
設 立:昭和59年6月
組合員:21人
URL:http://www4.famille.ne.jp/~suzuri/

企業組合による
創業・再チャレンジ
只見川渓谷を臨む全国屈指の薬湯を地域住民で維持管理
〜 早戸温泉つるの湯企業組合(福島県)〜
◆背景と目的
 大沼郡三島町は、人口約2,200人余りの過疎化と高齢化が進展している地域であり、高齢化率も約4割と高い。主な産業は、農業と林業であり、町内には事業所も少なく、雇用の確保が課題であった。早戸温泉は、1200年の歴史がある名湯薬湯で、早戸地域の住民が温泉組合を結成して個人に委託して維持してきたが、高齢化と後継者難のために、自力での存続が難しくなった。このため、町に陳情した結果、町が早戸地区交流拠点施設として整備することとなった。
◆事業・活動の内容
 町の施設について、指定管理者制度を活用して民間に委託する事になったため、これを受けて地元有志により受け皿組織の企業組合を設立し、受託して事業を実施することになった。設立当初の事業は、温泉浴場・宿泊施設の経営、飲食物の販売、地場産品等の販売である。オープン後、入湯者は予想以上であり、平成18年には顧客のニーズに応えるために飲食店の経営を追加した。さらに、観光施設の魅力を創出するために、旅客不定期航路事業を追加して、只見川山峡船下りを実施している。温泉の泉質が良いことから、湯治客は当初計画の4倍の実績となっている。
◆成果
 入湯客は、年間4万人を超えている。入湯客は、地元近隣住民だけでなく、関東周辺からも訪れている。これにより、町の交流人口が増加した。さらに、入湯客は温泉施設で飲食物の購入や地場産品の購入も行っている。また、新しく始めた飲食店の経営や屋形船による只見川山峡下りは、今後の魅力ある観光施設として期待できるだけでなく、雇用についても大きく貢献し、高齢者の収入増加と比較的若年層の雇用を増大することに大きく成果を上げることとなった。

【組合の概要】
所在地:大沼郡三島町大字早戸字湯ノ平888番地
電 話:0241-52-3324
設 立:平成16年3月
組合員:17人(うち特定組合員1人)
URL:http://www.sakuma-k.co.jp/
※本コーナーは、全国中央会が取り纏めた「先進組合事例」をもとに編集しています。



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