日本列島組合探険隊
新たな販路・
市場開拓
日本伝統の高品質鋳物製品で欧米市場へ参入
〜水沢鋳物工業協同組合(岩手県)〜
◆背景と目的
 南部鉄器は900年の歴史を持つ伝統鋳物製品であり、最盛期は日用品の鉄瓶、急須、風鈴などを中心に28億円の売上を誇った。しかし、日本人の生活の洋風化、家電製品の普及、消費の後退、安い中国製品の輸入などの要因により、売上を年々減少させてきた。産地・組合では、国内市場の低迷を克服するために海外市場へ目を向け、平成17・18年度の2年間に亘り、生活用品の世界的見本市、フランクフルトメッセに出展した。
◆事業・活動の内容
 産地・組合では、これまで海外市場での販売は行われておらず、欧米市場参入は未経験の挑戦であったため、販路開拓は手探りの状態であった。最初の平成17年度は、ほとんどの種類の産地製品(鉄瓶、急須、風鈴等)を展示してきたが、展示品の中で欧米のバイヤーや消費者が関心を示すのものは、紅茶に関する製品だけであった。そこで、平成18年度は、紅茶に関する製品に焦点を絞って展示した。その結果、商談数は前回よりも多くなり、欧米のバイヤーからティーポットの大きさ、色、模様、重さなどについて、詳しいニーズが得られた。
◆成果
 2年間のメッセ出展を通し、欧米消費者のニーズがつかめ、いくつかの商談の成約もあった。これを踏まえ、平成19年度以降は、売込製品のターゲット化、デザインの改良や岩手大学が所有する最新鋳物技術導入による、他国、他産地でまねのできない品質面での向上を図り、欧米の湯沸機器販売事業者、紅茶販売事業者等の獲得や欧米市場の確固たる基盤を築く方針である。


【組合の概要】
所在地:奥州市水沢区羽田町字明正131
電 話:0197-24-1551
設 立:昭和29年11月
組合員:58名

地域資源を活用
した事業展開
みそ汁で食べよう!醸造イソフラボン
〜宮城県味噌醤油工業協同組合(宮城県)〜
◆背景と目的
 近年、消費者は健康志向からくる高食塩タイプの味噌への拒絶反応や嗜好の多様化の傾向がある。このため、組合では、味噌の大豆に含まれているアグリコン型イソフラボンが他の大豆加工食品より、摂取量と機能性が高いことに着眼し、一般に市販されている味噌より多く含ませることで、伝統ある「仙台みそ」の健康機能を高め、自然食品に近づけることによる差別化を図ることとした。
◆事業・活動の内容
 農林水産省の食料産業クラスター事業の補助を受け、また、東北大学、宮城県産業技術総合センターの技術支援並びに組合員4社の協力により、アグリコン型イソフラボンの総量を通常の30%前後から80〜90%まで抽出することに成功した。「仙台みそ」を自然食品に近づけたことにより、低迷する味噌消費の拡大が期待できる。これを推進するため、組合員4社の協力のもと、「仙台みそ」パッケージに「醸造イソフラボン」の統一シールを貼付し、市場の状況を見つつ全組合員に拡大して行くとともに、地域ブランドとして商標登録した「仙台みそ」、「仙台味噌」の2種類を全組合員で使用し、消費の拡大を図っている。
◆成果
 今回の研究開発の成果が各メディアで報道されたことで、地元デパートはもとより量販店など多くの流通団体から問い合わせがあり、食の健康機能に関する関心の深さが伺われ、伝統ある「仙台みそ」のイメージアップに、大きな経済効果があったと考えられる。


【組合の概要】
所在地:仙台市青葉区一番町二丁目11-1
電 話:022-221-7371
設 立:昭和22年3月
組合員:51人
※本コーナーは、全国中央会が取り纏めた「先進組合事例」をもとに編集しています。



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