平成20年度 中小企業労働事情実態調査結果
〜集計速報版より〜
 本会では、毎年7月1日を調査時点として全国統一様式により中小企業の労働事情に関する実態調査を実施しております。本年も回答のあった事業所を本会独自で集計・分析を行い、速報版としてとりまとめました。今回の調査では、県内800事業所(製造業450、非製造業350)を対象とし、434事業所から回答(回答率54.3%)がありました。
 詳細な調査結果については、全国のデータが出揃う12月の初めに報告書として発行を予定しておりますが、今回は速報版として主要項目をピックアップして掲載します。

1 調査対象年月日
平成20年7月1日
2 調査対象事業所
800事業所
3 回答事業所数
432事業所
4 回答率
54.3%

I 経営状況
 厳しい経営環境の中で、県内の中小企業の経営状況を見ると、「悪い」が61.1%と最も多かったのに対し、「良い」は4.8%となっている。昨年度調査との比較では、「良い」が4.5ポイント減少し、「悪い」が15.7ポイント増加していることから、総じて県内中小企業の経営状況は厳しいものとなっていることが窺える。
図−1 経営状況

II 経営上の隘路
 経営上の隘路を3項目以内で選択してもらったものであるが、この結果、「販売不振・受注の減少」が62.7%と最も多く、11年連続で1位となっている。次いで、「原材料・仕入品の高騰」が59.7%、「同業他社との競争激化」が37.8%となっている。
 上位3項目は前年度と変わらないが、「原材料・仕入品の高騰」は昨年度38.4%で3位だったが今年度は21.3ポイントの大幅な増加をみせ、2位に浮上、1位の「販売不振・受注の減少」に3.0ポイント差まで迫っている。また2位だった「同業他社との競争激化」が3位に後退した。
図−2 経営上の隘路

III 経営上の強味
 経営上の強味を3項目以内で選択してもらったものであるが、この結果、「顧客への納品・サービスの速さ」が34.6%と最も多く、次いで、「製品の品質・精度の高さ」が25.3%、「組織の機動力・柔軟性」が22.4%と続いており、この3項目の順位は昨年度と変わりないものの、「顧客への納品・サービスの速さ」と「組織の機動力・柔軟性」が増加し、「製品の品質・精度の高さ」がやや減少していることが目に付く。
図−3 経営上の強み

IV 従業員の労働時間
 週所定労働時間については、「40時間」が49.1%、「38時間超40時間未満」が35.0%、「38時間以下」が9.4%となっており、「40時間以下」の事業所が93.5%と昨年度(92.8%)より若干増加している。
図−4 従業員の労働時間

V 退職金(年金)制度

 退職金(年金)制度の状況をみると、「退職一時金制度のみがある」が56.0%、「退職一時金制度と退職年金制度を併用している」が21.3%、「退職年金制度のみがある」が15.8%とこの3つの回答で93.1%を占めたのに対して、「退職金制度はない」はわずかに6.9%であった。
図−5 退職金(年金)制度

VI 従業員の募集・採用・定着

 新卒者の採用をどのように行っているかをみてみると「新卒者の定期採用をしていない」が78.8%と圧倒的に多いのが特徴的である。これに対して、「数年おきに、新卒者を採用している」は11.1%、「毎年、新卒者を採用している」は10.1%といずれも1割程度の低い回答となっており、ほとんどの事業所で新卒者の定期採用が行われていない状況が窺える。
図−6 技術・技能・知識・経験の承継の進捗状況

VII 高年齢者の雇用

(1) 定年年齢
 定年年齢についてみてみると、「60歳」が圧倒的に多く、73.0%を示しており、大多数の事業所で「60歳」定年となっているようだ。しかしながら、「65歳以上」も15.4%を示し、さらに「定年年齢を定めていない」も7.0%を示しているのが目に付く。ただ「61歳」〜「64歳」は、いずれも0.7%〜1.6%の極めて低い回答にすぎなかった。
図−7 最低賃金引き上げの影響

(2) 定年後の継続雇用制度の導入
 定年後の継続雇用制度の導入についてみると、「再雇用制度のみを導入」が53.3%と過半数を占めた。次いで「導入していない」が21.3%で続いている。一方「勤務延長制度のみを導入」が15.0%、「勤務延長・再雇用制度両方を導入」は10.4%と低い回答であった。
図−8 定年後の継続雇用制度の導入

VIII 最低賃金引き上げの影響
 最低賃金が引き上げられた場合の経営上のマイナスの影響についてみると、「ほとんどない」が53.2%、「全くない」が25.6%と「影響がない」とする回答はこの2つで78.8%と8割近くに達しているのに対し、「多少ある」が9.9%、「大いにある」が5.5%を示しており、「影響がある」とする回答はこの2つで15.4%を占めている。
 これを昨年度調査と比較してみると、「影響がない」とする回答は15.4ポイント増加し、逆に「影響がある」とする回答は14.0ポイントの減少となっており、最低賃金引き上げの「影響がない」とする事業所がこの1年間で増加したことが窺える。
図−9 最低賃金引き上げの影響

IX 新規学卒者の採用計画

 平成21年3月学卒者の採用計画については、「ある」とする事業所が434事業所のうち56事業所(12.9%)と前年度に比べ3事業所、率にして0.8ポイントの減少となっており、若干下降気味である。
表−1 新規学卒者の採用計画
区分
平成20年度
平成19年度
平成18年度
事業所数
比率
事業所数
比率
事業所数
比率
ある
56
12.9
59
13.7
53
12.3
ない
302
69.6
289
66.9
285
66.3
未定
76
17.5
84
19.4
92
21.4
 また、採用計画のある56事業所の採用予定者数をみると、全体では160人となっており、昨年度より4人多くなっており、1事業所あたりの採用予定者数はやや増加という結果となっている。
表−2 新規学卒者の採用予定者数
区分
平成19年度
平成18年度
平成17年度
事業所数
採用予定者数
事業所数
採用予定者数
事業所数
採用予定者数
高校卒
42
100
41
94
35
100
専門卒
11
14
10
15
12
16
短大卒
8
10
8
11
7
10
大学卒
21
36
20
36
22
38
合 計
82
160
79
156
76
164

X 賃金改定状況
 本年1月から7月1日(調査時点)までの賃金の改定状況を見ると、賃金を「引上げた」事業所が33.2%で昨年度の33.3%に比べ0.1ポイントの減少でほぼ横ばいであった。
 一方、「引下げた」事業所は3.0%で昨年度(2.1%)に比べ、0.9ポイント率が上がっている。また調査時点で「未定」としているところが52.1%から51.8%と0.3ポイント減っている。
図−10 賃金改定状況



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