労働紛争の防止・労働関係の安定を図る労働契約法のポイント
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近年、就業形態が多様化し、労働者の労働条件が個別に決定・変更されるようになり、個別労働紛争が増えています。この紛争の解決の手段としては、裁判制度のほかに、平成13年から個別労働紛争解決制度が、また、平成18年から労働審判制度が施行されるなど、手続面での整備が進んできました。しかし、このような紛争を解決するための労働契約について、これまでは民事的なルールをまとめた法律はありませんでした。
このような中で、本年3月1日から「労働契約法」が施行され、労働契約についての基本的なルールがわかりやすい形で明らかにされましたので、ご紹介致します。 なお、本会では、厚生労働省の委託事業として「中小企業労働契約支援事業」を本年度実施しており、今後普及セミナーを開催し、労働契約法の内容等について周知していくこととしております。セミナーの具体的な内容等については、詳細が決まり次第ご案内致します。 |
労働契約の基本的なルールとは?
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○ 労働契約の締結や変更に当たっては、労使の対等の立場における合意によるのが原則です。
○ 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、均衡を考慮することが重要です。
○ 労働者と使用者は、労働契約の締結や変更に当たっては、仕事と生活の調和に配慮することが重要です。
○ 労働者と使用者は、信義に従い誠実に行動しなければならず、権利を濫用してはなりません。
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※ 労働契約は、使用者と労働者がお互いに守らなければならないものです。あとでトラブルになったりしないように、契約の内容をハッキリさせておくことが大切です。
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○ 使用者は、労働契約の内容について、労働者の理解を深めるようにしましょう。 |
※ 例えば、労働者に労働条件をきちんと説明することなどが考えられます。
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○ 労働者と使用者は、労働契約の内容(有期労働契約に関する事項を含む。)について、できる限り書面で確認しましょう。 |
※ 例えば、労使で話し合った上で、労働条件を記載した書面を労働者に交付することなどが考えられます。
※ 有期労働契約の場合には、契約期間が終わったときに契約が更新されるかどうかや、どのような場合に契約が更新されるのかなど、契約の更新についてもハッキリさせておきましょう。
※ このほか、有期労働契約については、「有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」において、使用者は
①契約期間満了後の更新の有無等を明示 ②3回以上更新された契約や1年を超えて継続勤務している労働者の契約を更新しない場合、契約期間満了の30日前までに雇止めを予告 ③労働者の求めに応じ、雇止めの理由を明示 ④契約更新の場合、契約期間をできる限り長くするよう配慮することとされています。 |
○ 使用者は、労働者の生命や身体などの安全が確保されるように配慮しましょう。
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労働契約を結ぶ場合には?
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○ 労働者と使用者が、「労働すること」、「賃金を支払うこと」について合意すると、労働契約が成立します。
○ 労働者と使用者が労働契約を結ぶ場合に、使用者が
① 合理的な内容の就業規則を ② 労働者に周知させていた(労働者がいつでも見られる状態にしていた)場合には、就業規則で定める労働条件が、労働者の労働条件になります。 |
※ 使用者が就業規則を机の中にしまっていて、労働者が見たくても見られない場合などは、労働者に周知されていませんので、その就業規則は労働者の労働条件にはなりません。
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○ 労働者と使用者が、就業規則とは違う内容の労働条件を個別に合意していた場合には、その合意していた内容が、労働者の労働条件になります。
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※ 事業場に就業規則がある場合でも、労働者のそれぞれの事情に合わせて、労働条件を柔軟に決めることができます。
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○ 労働者と使用者が個別に合意していた労働条件が、就業規則を下回っている場合には、労働者の労働条件は、就業規則の内容まで引き上がります。
○ 法令や労働協約に反する就業規則は、労働者の労働条件にはなりません。
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労働契約を変える場合には?
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○ 労働者と使用者が合意すれば、労働契約を変更できます。
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※ 事業場に就業規則(労働条件などを定めた規則)がある場合には、次のようになります。
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○ 使用者が一方的に就業規則を変更しても、労働者の不利益に労働条件を変更することはできません。
○ 使用者が、就業規則の変更によって労働条件を変更する場合には、次のことが必要です。
① その変更が、以下の事情などに照らして合理的であること。 ・労働者の受ける不利益の程度 ・労働条件の変更の必要性 ・変更後の就業規則の内容の相当性 ・労働組合等との交渉の状況 |
※ 「労働組合等」には、労働者の過半数で組織する労働組合その他の多数労働組合や事業場の過半数を代表する労働者のほか、少人数労働組合や、労働者で構成されその意思を代表する親睦団体など労働者の意思を代表するものが広く含まれます。
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② 労働者に変更後の就業規則を周知させること。
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労働契約を終了する場合などには?
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出向、懲戒や解雇については、労働者に与える影響が大きいことからトラブルになることが少なくありませんので、紛争とならないように気をつけましょう。
○ 権利濫用と認められる出向命令は、無効となります。
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※ 出向命令が権利濫用に当たるかどうかは、その出向が必要であるか、対象労働者の選定が適切であるかなどの事情を総合的に考慮して判断されます。
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○ 権利濫用と認められる懲戒は、無効となります。
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※ 懲戒が権利濫用に当たるかどうかは、懲戒の原因となる労働者の行為の性質や態様などの事情を総合的に考慮して判断されます。
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○ 客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当と認められない解雇は、権利を濫用したものとして無効となります。
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有期労働契約を終了する場合などには?
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例えば、1年の契約期間を定めたパートタイム労働者など有期労働契約を結ぶ場合には、契約の終了場面における紛争が見られることから、あとでトラブルになったりしないように、次のことに気をつけましょう。
○ 使用者は、やむを得ない事由がある場合でなければ、契約期間が満了するまでの間において、労働者を解雇することができません。
○ 使用者は、有期労働契約によって労働者を雇い入れる目的に照らして、契約期間を必要以上に細切れにしないよう配慮しなければなりません。
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なお、労働契約法に関するお問い合わせは、本会調査広報課(Tel.018-863-8701)までお願い致します。
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